研究課題/領域番号 |
23H00480
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
近野 敦 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (90250688)
|
研究分担者 |
安部 崇重 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (10399842)
妹尾 拓 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (10512113)
小水内 俊介 香川大学, 創造工学部, 准教授 (40708004)
安孫子 聡子 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40560660)
辻田 哲平 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (40554473)
陳 暁帥 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (40812277)
佐瀬 一弥 東北学院大学, 工学部, 准教授 (20805220)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
47,450千円 (直接経費: 36,500千円、間接経費: 10,950千円)
2024年度: 19,760千円 (直接経費: 15,200千円、間接経費: 4,560千円)
2023年度: 20,800千円 (直接経費: 16,000千円、間接経費: 4,800千円)
|
キーワード | 手術ナビゲーション / 腹腔鏡手術 / 動的有限要素法 / 臓器変形シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
腹腔鏡手術では内視鏡の視野が限定され,重大な医療事故へとつながる血管の誤認が起きやすい.このような誤認を軽減するためには手術ナビゲーションが有効であるが,従来の手術ナビゲーションは手術前に撮影した医用画像に基づいてナビゲーションを行うため,手術の進行と共にナビゲーションは実際の状況から乖離していくという問題があった.そこで本研究では手術器具の位置姿勢をモーションキャプチャー装置で追跡し,使用している手術器具の種類,手術器具先端と臓器の相対位置等から手術操作を推定し臓器の変位・変形を予測する.予測した臓器の状態を術中観測や術中位置合わせで補正し,最尤推定した状況を基に手術ナビゲーションを行う.
|
研究実績の概要 |
本研究は,実時間動力学シミュレーションで臓器の変形を予測し,手術中の観測情報で予測を修正しながら臓器モデルを更新し,最新の情報に基づき外科手術を支援する,リアルタイムデジタルツイン腹腔鏡手術ナビゲーションを開発することを目的とする. 研究開発項目を大きく,1手術ナビゲーションシステムの開発,2腹腔鏡手術トレーニングボックスでのシステム評価,に分け,小課題として,1-1手術器具追跡システム,1-2医用画像からの臓器モデル自動生成,1-3実時間臓器変形と内部応力計算,1-4手術器具情報に基づく手術操作推定,1-5内視鏡画像マッチングによるモデル修正,1-6手術者への情報提示インタフェース,2-1リンパ節郭清でのナビゲーション精度評価,2-2リンパ節郭清でのユーザーインタフェース評価,を設けた. 初年度の2023年度は,主に1-1~1-5の課題に取り組んだ.課題1-1に関しては,手術器具にモーションキャプチャーマーカーと慣性計測装置(IMU)を取り付け,マーカーが障害物等で隠れた場合でもIMUのデータから補正する手法を提案した(特許出願中:特願2024-026624, 2024年 2月26日).課題1-3, 1-4では,手術器具に取り付けたマーカーから手術器具を判別し,手術器具の機能,手術器具と臓器の位置関係から現在行っている手術操作を推定し,動力学シミュレーションで切開や剥離を再現する手法を開発した.また,課題1-5では,実際の手術と動力学シミュレーションによる推定との誤差が蓄積した場合,手術器具の先端で特徴点を指示することにより,実臓器と臓器モデルの位置合わせを行う手法を開発した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の基盤となる実時間デジタルツインを用いた腹腔鏡手術ナビゲーションの提案がIF付の国際学術雑誌に掲載された.肝臓・胆嚢・膵臓の3,225要素からなる有限要素モデルを用いた手術シミュレーションでは,1ループの変形計算時間が50 msと,目標としている33 msに近い速度となった.また,リンパ節と血管の簡易モデルに対する剥離シミュレーションにおいて,手術器具の種類とモデルとの位置関係から,切断と剥離の手術操作を精度よく推定し,シミュレーションで再現できることを確認した.さらに,課題1-1に関し特許を出願する等,当初期待した成果が出ている.
|
今後の研究の推進方策 |
2年目となる2024年度は,前年度に引き続き,課題1-3実時間臓器変形と内部応力計算,1-4手術器具情報に基づく手術操作推定,1-5内視鏡画像マッチングによるモデル修正,に取り組む.課題1-4では,実手術に極めて近いカダバーを用いた手術訓練での手術器具の動作から手術操作を推定する技術の開発に挑戦する.また2024年度に新たに1-6手術者への情報提示インタフェース,2-1リンパ節郭清でのナビゲーション精度評価,の課題に取り組む.課題1-6では,手術者への直感的理解が容易な情報提示手法として,モニタへの表示,患者へのプロジェクションマッピング,ヘッドマウントディスプレイへの表示等を試みて,その効果を比較する.課題2-1はこれまで開発してきた腹腔鏡手術ナビゲーションの効果を腹腔鏡手術トレーニングボックスでの模擬手術で評価するもので,2024年度ではナビゲーションの精度の評価を行う.
|