研究課題/領域番号 |
23H00484
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 文英 筑波大学, システム情報系, 教授 (50512787)
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研究分担者 |
上出 寛子 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (90585960)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,410千円 (直接経費: 35,700千円、間接経費: 10,710千円)
2024年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2023年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 物理エージェント / エージェント |
研究開始時の研究の概要 |
現代社会の深刻な問題に人々の孤立・孤独がある。オンライン化により人々はネット上でつながったが、孤独の問題はむしろ悪化の向きもある。本研究では、孤独の緩和には現実世界での触れ合いや温かみといった要素が肝心との考えに立ち、それら物理的相互作用を通じてユーザの孤独を和らげる物理エージェント技術を開発して、この社会的問題に対するソリューションのひとつを提示することを目指す。研究代表者らがこれまでに推進してきた孤立対策の技術とも融合し、各々ユーザに応じてバランスのとれた支援を行うことを目指す。
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研究実績の概要 |
研究計画中にある第一のテーマであるユーザの孤独感を抑制する物理エージェントの要件解明について、自由形状素材を活用した物理エージェントのプロトタイプ1号機を設計した。ユーザの孤独感を効果的に抑制しうるためには触れ合いを伴うエージェンシー・他者感が重要と考えており、この考察に基づき最終的にshape memory alloyをソフトアクチュエータと融合した手法を採用した。ここで設計した物理エージェント及び同手法の開発に関する研究成果をACM CHI Late-Breaking Workトラックに論文投稿し、採択されている(2024年5月発表予定)。 孤立と孤独のバランスに関する調査研究については、次年度以降に行う予定の本格調査研究に向けて、海外の公的データセット(具体的にはドイツの国勢調査)を用いた予備調査を実施した。研究分担者・協力者との議論を経て、膨大な同データセットの中からまずは高齢者の性格特性と交流頻度、social lifeへの満足度などの項目に着目して孤立と孤独のバランスへのアプローチを検討しデータ分析を行った。これらの詳細な分析結果は人工知能学会全国大会(2024年5月)にて発表予定である。 最後に、形態にこだわらない物理エージェントの研究開発については、ユーザの体内に音像を定位させる体内エージェントという新しいエージェント方式の発案に到り、プロトタイプ開発と効果検証を行った。この研究成果をHAIシンポジウムに投稿・発表し、最優秀論文賞の受賞に到っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初研究計画にあった研究項目を予定通り進めたのみならず、最後の形態にこだわらないエージェントに関して概念レベルから新しいエージェント方式の発案に到り、プロトタイプ開発からユーザ実験まで行った。その結果、情緒的孤独感の抑制効果が特に強いことが判明し、本研究プロジェクトに関わり重要な新たな展開と成果を得た。すでに学会で受賞にも到っており、総じて当初の計画以上に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
SMAとソフトアクチュエータを組み合わせたエージェントのプロトタイプ開発を進め、ユーザ検証を行う。孤立と孤独のバランスに関する調査研究は、SOEP以外のデータセットを用いた調査研究を進め、仮説の抽出と精緻化を進める。初年度に発案した新しいエージェント方式を含めてエージェンシー認知の喚起に関する基礎研究を進め、孤立と孤独に関わる支援技術の開発につなげていく。
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