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ベイズ計測の深化と展開

研究課題

研究課題/領域番号 23H00486
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 中区分61:人間情報学およびその関連分野
研究機関東京大学

研究代表者

岡田 真人  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (90233345)

研究分担者 水牧 仁一朗  熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (60360830)
片上 舜  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (90972084)
菅生 康子  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究グループ長 (40357257)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2025年度)
配分額 *注記
46,410千円 (直接経費: 35,700千円、間接経費: 10,710千円)
2025年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2024年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
キーワードベイズ推論 / ベイズ計測 / データ駆動科学 / 計測科学 / 機械学習 / 放射光科学 / 放射光施設 / SPring-8 / 計測インフォマティクス / 分光学 / レプリカ交換モンテカルロ法
研究開始時の研究の概要

我々は世界に先駆けて,計測科学にベイズ推論を導入するベイズ計測を提案した.ベイズ計測では従来手法の問題点であった評価関数のローカルミニマムの問題を解決することができる.さらに計測データがどのようなメカニズムで生成されたかを計測データから決めることのできるモデル選択が可能である.本研究課題では,これまでの研究に基づき,以下の三つの課題により,ベイズ計測の深化と展開を目指す.

研究実績の概要

【課題1】モンテカルロ法の高速アルゴリズムの深化: モンテカルロ法の高速アルゴリズムについては、当初の計画通りに研究が進まなかった。そのため、【課題1】をベイズ計測のためのモンテカルロ法の新規アルゴリズムの提案とした。、【課題1-1】では、ベイズ計測で用いられる系の物理モデルを用いたアクティブラーニングの枠組みを提案した。従来はガウス過程回帰と呼ばれる方法でアクティブラーニングする手法が提案されていたが、従来手法をスペクトル分解などのベイズ計測の標準的計測手法に適用すると、誤ってスペクトルを再構成することがわかった。一方、我々の提案手法では、問題なくスペクトルを再構成することができた。【課題1-2】では、モンテカルロ法で事前に設定する必要のあるハイパーパラメータの自動調整アルゴリズムを提案した。この提案手法は、従来手法で熟練者がハイパーパラメータをハンドチューンした際の計算時間と同じ計算時間で、ハイパーパラメータの自動調整できることがわかった。
【課題2】ベイズ統合と計測限界の理論の深化: 直線回帰y=ax+bのベイズ計測に関して、事後パラメータ推定、ベイズ的モデル選択、ベイズ統合の解析的理論の導出に成功した。その理論は、学習サンプル数Nが有限の場合も理論的に取り扱うとことができる。通常のベイズ推論の理論はNが無限大の漸近極限のみしか議論できず、Nが有限の現実的な状況を説明することはできなかった。統計学や統計力学の理論の殆どはN無限大の理論であり、我々の提案した理論は、これまで人類が到達できなかった領域に理論のメスを入れることができ、統計学統計力学の歴史を塗り替えるものである。
【課題3】SPring-8全ビームライン(BL)へのベイズ計測の展開: メスバウアー分光や小角散乱なのでの典型的な計測の問題をベイズ計測で取り扱った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

【課題1】モンテカルロ法の高速アルゴリズムの深化: ランジュバンダイナミクスを用いたモンテカルロ法の高速アルゴリズムの開発は、当初の目論見が外れて、従来のモンテカルロ法の計算時間と殆ど買わない結果となった。そこで【課題1】の計画を【課題1-1】と【課題1-2】に発展的に変えた。【課題1-1】では、ベイズ計測で用いられる系の物理モデルを用いたアクティブラーニングの枠組みを提案した。【課題1-2】では、モンテカルロ法で事前に設定する必要のあるハイパーパラメータの自動調整アルゴリズムを提案した。
【課題2】ベイズ統合と計測限界の理論の深化: ベイズ統合と計測限界の理論の深化: 直線回帰y=ax+bのベイズ計測に関して、事後パラメータ推定、ベイズ的モデル選択、ベイズ統合の解析的理論の導出に成功した。その理論は、学習サンプル数Nが有限の場合も理論的に取り扱うとことができる。計測限界に関しては、Tokudaらの計測限界の理論を学習サンプルサイズNが有限の場合に拡張するのは理論的に困難であることがわかった。そのため方針を変更し、物理モデルのパラメータの事後確立分布の形の定性的変化を追うことで、計測限界を求める手法をとることにした。
【課題3】SPring-8全ビームライン(BL)へのベイズ計測の展開: ベイズ計測の普及のために、SPring-8を選んだか、その歯急行はすぐに得られた。あいちSRでもベイズ計測に大変興味を持っていただき、2023年10月30日にあいちSRでベイズ計測普及のためのシンポジウムを開催した。この効果は絶大であり、あいちSRから愛知県の研究費の申請をすることになった。

今後の研究の推進方策

【課題1】モンテカルロ法の高速アルゴリズムの深化: 。【課題1-1】では、我々が提案したアクティブラーニングのアルゴリズムをX線光電子放出スペクトル(XPS)に適用する。担当者の博士課程の学生が、XPSの装置を用いてXPSを自ら計測し、彼が提案したアクティブラーニングのアルゴリズムが所望の結果が出るかを事象的に検証する。【課題1-2】では、ハイパーパラメータの自動調整アルゴリズムの論文を完成させるとともに、それをSPring-8を中心に公開することを計画している。
【課題2】ベイズ統合と計測限界の理論の深化: 【課題3】で展開するSPring-8で行われる種々多様な計測手法全てに対して、我々が提案する計測限界の手法を適用する。また、個々の計測方法に関しては、すべての計測点から満遍なくデータを得ることが難しい場合が存在する。ベイズ計測でそのような状況を計算機上で再現し、計測結果がどの程度、データ欠損等に対して頑健かを理論的に議論する。その理論的知見を、実際の実験計画に活かして、効率の良い計測を目指す。
【課題3】SPring-8全ビームライン(BL)へのベイズ計測の展開: SPring-8を中心にベイズ計測を普及しながら、我が国の他の放射光施設やJ-PARCなどの中性子施設などの量子ビーム計測施設にベイズ計測を広く展開する。具体的には、佐賀県立シンクロトロン光センター、あいちSR、広島大学放射光科学研究所、SRセンター 立命館大学 総合科学技術研究機構、高エネルギー加速器研究機構、j-PARCなどに展開する予定である。各量子ビーム計測施設はベイズ計測に高い興味を示しているので、SPring-8での広報活動を例にして、ベイズ計測のチュートリアルシンポジウムやベイズ計測の講習会を企画する。

報告書

(2件)
  • 2023 審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Unique Band Structure of Pressure Induced Semiconducting State in SmS Characterized by 33S-Nuclear Magnetic Resonance Measurements2024

    • 著者名/発表者名
      Yoshida Shogo、Ueda Hajime、Mutou Tetsuya、Katakami Shun、Okada Masato、Yokoyama Yuichi、Mizumaki Masaichiro、Hiraoka Naoka、Kitagawa Kentaro、Haga Yoshinori、Fujii Takuto、Nakai Yusuke、Mito Takeshi
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 93 号: 1 ページ: 013702-013702

    • DOI

      10.7566/jpsj.93.013702

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Efficient NMR measurement and data analysis supported by the Bayesian inference: The case of the heavy fermion compound YbCo2Zn202023

    • 著者名/発表者名
      Ueda H.、Katakami S.、Okada M.、Yoshida S.、Nakai Y.、Mito T.、Mizumaki M.
    • 雑誌名

      Journal of Magnetic Resonance

      巻: 357 ページ: 107585-107585

    • DOI

      10.1016/j.jmr.2023.107585

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Quantifying physical insights cooperatively with exhaustive search for Bayesian spectroscopy of X-ray photoelectron spectra2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Kumazoe, Kazunori Iwamitsu, Masaki Imamura, Kazutoshi Takahashi, Yoh-ichi Mototake, Masato Okada, Ichiro Akai
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 号: 1

    • DOI

      10.1038/s41598-023-40208-3

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Fast reconstruction of scanning transmission electron microscopy images using Markov random field model2023

    • 著者名/発表者名
      Kusumi Taichi、Katakami Shun、Ishikawa Ryo、Kawahara Kazuki、Shibata Naoya、Okada Masato
    • 雑誌名

      Ultramicroscopy

      巻: 253 ページ: 113811-113811

    • DOI

      10.1016/j.ultramic.2023.113811

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Sample structure prediction from measured XPS data using Bayesian estimation and SESSA simulator2023

    • 著者名/発表者名
      Shinotsuka Hiroshi, Nagata Kenji, Siriwardana Malinda, Yoshikawa Hideki, Shouno Hayaru, Okada Masato
    • 雑誌名

      Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena

      巻: 267 ページ: 147370-147370

    • DOI

      10.1016/j.elspec.2023.147370

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Bayesian Approach to <i>T</i><sub>1</sub> Analysis in NMR Spectroscopy with Applications to Solid State Physics2023

    • 著者名/発表者名
      Ueda Hajime、Katakami Shun、Yoshida Shogo、Koyama Takehide、Nakai Yusuke、Mito Takeshi、Mizumaki Masaichiro、Okada Masato
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 92 号: 5 ページ: 054002-054002

    • DOI

      10.7566/jpsj.92.054002

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 順問題ソルバーを用いたサロゲートベイズ推論2024

    • 著者名/発表者名
      柏村周平, 吉見一慶, 三澤貴宏, 水牧仁一朗, 岡田真人
    • 学会等名
      日本物理学会 2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 可解モデルによるメゾスコピックベイズ推論2024

    • 著者名/発表者名
      片上舜, 柏村周平, 永田賢二, 水牧仁一朗, 岡田真人
    • 学会等名
      日本物理学会 2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 放射光メスバウアー分光の推定精度の基底関数依存性2023

    • 著者名/発表者名
      SHIEH Binsheu, 増田亮, 筒井智嗣, 片上舜, 永田賢二, 水牧仁一朗, 岡田真人
    • 学会等名
      第26回情報論的学習理論ワークショップ
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] マルコフ確率場に基づくベイズ的位相回復計算2023

    • 著者名/発表者名
      上田朔, 片上舜, 岡田真人
    • 学会等名
      第26回情報論的学習理論ワークショップ
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] コアシェル試料における小角散乱データのベイズ推論2023

    • 著者名/発表者名
      大山慶悟, 林悠偉, 桑本滋生, 片上舜, 永田賢二, 水牧仁一朗, 岡田真人
    • 学会等名
      第26回情報論的学習理論ワークショップ
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] X線反射率データ解析におけるベイズ推論手法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      町田惇, 渡辺剛, 水牧仁一朗, 永田賢二, 岡田真人
    • 学会等名
      第26回情報論的学習理論ワークショップ
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2025-06-20  

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