研究課題/領域番号 |
23H00491
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
長尾 智晴 横浜国立大学, 総合学術高等研究院, 特任教員(教授) (10180457)
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研究分担者 |
白川 真一 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (90633272)
田邊 遼司 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 助教 (80780923)
森 辰則 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (70212264)
島 圭介 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (50649754)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,670千円 (直接経費: 35,900千円、間接経費: 10,770千円)
2024年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2023年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
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キーワード | 神経回路網 / 機械学習 / 進化計算 / 最適化 / 共進化 / 深層学習 / 進化計算法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,従来の階層型・前向き結合型神経回路網モデルから脱却し,内部に階層型・相互結合型などの構造を含み,多目的・多機能で高度かつ柔軟な知能情報処理を行なうことができる,言わば“人工脳”を最適化法の一種の進化計算法などをベースにして単純な機能から複雑な機能へと段階的に進化させることで自動構築する汎用神経回路網の自動構築手法を提案するとともに,現在の説明可能AI技術を発展させ,汎用神経回路網の内部機能の位置や構造,判断根拠・処理の機序を明らかにして人に説明することを目指す人工脳科学とでも呼ぶべき方法論を開発する.さらに,構築した汎用神経回路網を実世界の問題に適用してその有効性を検証する.
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研究実績の概要 |
2023年度は当初計画した項目1) 神経回路網の段階的進化,2) 人との共進化,3) 量子計算による大規模実験,4) 実問題に適用して提案手法の有効性を検証する,についてそれぞれ研究を進めた.1)では相互結合型回路網にHopfieldモデルより多くのパターンを記憶させる方式を開発した.また,複数のタスクを同時に解くように大規模言語モデル(LLM)に与えるプロンプトをマルチタスク化すると、それぞれのタスクを個別に解くよりも精度が向上することを示した.さらに,スパイキングニューラルネットワーク(SNN)の性能向上を目的に,通常のニューラルネットワークで学習した重みをSNNに効果的に流用する方法の検討を開始した.さらに,生体信号の識別などを対象とし,様々な確率構造を内包したニューラルネットモデルを考案した.また時系列信号を表現する新しい確率モデルを提案した.2)では階層型神経回路網の入力変数の中から真に必要なものを浸透学習法(日米特許取得済)あるいはNeural Additive Models (NAM)を用いて選択する方式を開発するとともに,入力変数について人のもつ知見を有効に利用する方式を開発した.また,人手で吟味して構築したキーワード集合を利用するとLLMを用いた文分類タスクの精度が向上することを示すとともに[1]、同タスクにおいて、代表的なLLMに対するプロンプトの構成法による感受性・頑健性を比較検討し、人手で与える入力・出力の形式と分類精度の関係について考察した.3)については特に量子アニーリングについて調査・解析して来年度以降に実施する予定の実験方法について考察した.4)については単眼の画像中の3次元物体の立体形状を把握するニューラルネットワークを開発して実験によりその有効性を検証した.本研究は順調に実施中であり,今後も多くの研究成果を上げることが大いに期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した研究項目について,それぞれ計画通りに研究を遂行することができており,成果の公表状況も複数の国際会議発表など良好であるためこのように判断した.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を踏まえ,さらにそれらを発展させるべく研究を実施する。今後の研究項目ごとに実施内容を示す:1) 神経回路網の段階的進化:具体的な問題を人がサブタスクに分割し,それらを順次学習させることで神経回路網を多機能化する実験を行なって性能を評価する.2) 人との共進化:特に工場での製品検査などの具体的な問題を設定して,人との対話を通して高精度な欠陥検査やセグメンテーションを実現する方式を開発して評価する.3) 量子計算による大規模実験:神経回路網の構造最適化を量子アニーリングの問題として定式化する方法について検討するとともに,実験を開始する.4)汎用NNのためのXAIの開発:複雑な構造のNNに対してその挙動を解析する手法について検討する.5) 実問題に適用して提案手法の有効性を検証する: 昨年度から扱っている実問題1としての立体の3次元概念獲得に加えて,実問題2として相互結合を含む神経回路網による画像の記憶と連想に基づく問題を新たに扱って有効性を検証する. 得られた成果は学会などで積極的に発表することによって社会に還元する予定である.
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