研究課題/領域番号 |
23H00528
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
黒沢 高秀 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (80292449)
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研究分担者 |
程木 義邦 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (60632122)
大林 夏湖 福島大学, 共生システム理工学類, 客員准教授 (20448202)
平吹 喜彦 東北学院大学, 地域総合学部, 教授 (50143045)
永松 大 鳥取大学, 農学部, 教授 (20353790)
萱場 祐一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00355827)
柴崎 直明 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70400588)
藪崎 志穂 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 上級研究員 (60447232)
福島 慶太郎 福島大学, 食農学類, 准教授 (60549426)
岡 浩平 広島工業大学, 環境学部, 准教授 (80573253)
富田 瑞樹 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (00397093)
松島 肇 北海道大学, 農学研究院, 講師 (40359485)
柳澤 英明 東北学院大学, 地域総合学部, 准教授 (70635995)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,800千円 (直接経費: 36,000千円、間接経費: 10,800千円)
2024年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2023年度: 14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
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キーワード | 海岸防災施設 / 復旧事業 / 生物多様性 / 多面的機能 / 海岸植生 / 海岸生物の種多様性 / 多次元生態リスク評価 / 沿岸の地下水 / リモートセンシング |
研究開始時の研究の概要 |
東日本大震災の津波で大きな被害を受けた東北地方太平洋側では,震災後10年の間にほぼ全ての海岸防災施設が復旧することができた。事業の過程で生じた植物多様性保全上の問題に対処するために,各地において多様でユニークな環境保全事業がなされた。本研究はこのような環境保全事業について,個々の事業の現状を記録し,保全の目標が達成したかを検証し,保全以外の多面的効果の発揮状況に関して調査・分析する。これらの試みの効果や限界,課題を明らかにすることにより,環境保全と防災が両立する海岸防災施設のあり方に関わる基本原理・技術を提示することを目的としている。
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研究実績の概要 |
東日本大震災の津波被災地の復旧事業で行われた個々の環境保全事業の現状を記録し,保全以外の多面的効果の発揮状況に関して調査・分析を進めた。遺伝的多様性に関しては大洲国有林保護区内松川浦で塩生植物ハマサジとホソバハマアカザを採取し,遺伝マーカー開発に着手し解析中である。種多様性に関しては保護区設置箇所などで植物相調査を進めると共に,基礎情報となる震災前の海岸部の植物の種多様性に関する論文をまとめた。植生に関しては,防潮堤および海岸防災林基盤盛土ないしは潟湖が介在する砂浜海岸エコトーンの各所で,陸水間の環境傾度と人為の履歴を考慮した植生調査を継続した。物理環境に関しては,仙台海岸深沼地区において植物,陸上昆虫の生育・生息に関係する物理量として土壌水分量,土壌塩分量,土壌粒径,地盤高,汀線距離を取得した。地下水に関してR6年度に仙台市新浜地区で掘削予定のオールコアボーリングの掘削方法を検討するとともに,既設地下水観測井の水位連続記録を回収・整理した。水質に関しては,地下水質観測のため,福島県浪江町の観測井設置の候補地の選定を進め,また事前調査として同地域の既存井戸の地下水調査を実施した。景観に関しては,植物の在不在とUAV画像やDEMから潜在分布モデルを構築し,内陸性の風散布植物の分布確率が盛土域で増加したことを可視化した。人の利用に関しては,自然観察や環境教育活動に焦点を当て,宮城県気仙沼市立大谷小学校,仙台市立岡田小学校,名取市立閖上小中学校の小学生を対象とした環境教育プログラムを実施し,その効果について評価した。防災効果に関しては,仙台市沿岸を対象に防災施設についてのデータ収集を行った。また防災上の課題を検討するため能登半島沖地震津波の特性を検証した。これらの研究成果の一部は論文や書籍により公表し,また地域住民や市民団体の復興活動に参画して社会に還元した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り,東日本大震災の津波被災地の復旧事業で行われた個々の環境保全事業の現状の記録や,保全以外の多面的効果の発揮状況に関する調査・分析を進めることができた。初年度であるにもかかわらず,論文10報,著書5冊,学会発表24件の成果が挙がっている。論文では,東日本大震災で被害を受けた日本の東部沿岸地域を対象地域としたNA-LP-HS多次元生態リスク評価などを発表した。国際学会で津波後の海岸生態系回復をテーマとした1つのシンポジウムセッションを企画した。関連する他の研究グループとの情報交換や研究交流を目的に報告会を開催した。復旧事業が行われている地域での研究内容に関する関心は高く,地元局のニュースやウェブ記事で紹介され,2つの博物館等施設の企画展等に成果が活かされた.さらに5冊の市町村史や普及書などで成果の一部を紹介するなど,成果の社会・地元への還元や普及も進めることもできた。 また,1月に能登半島沖地震が発生した際に,いち早く津波特性を分析し,東日本大震災時の復旧事業の教訓についてシンポジウムで講演するなどの対応を行った。 これらのように,本研究の目的の1つである「津波被災地の復旧事業で行われた個々の環境保全事業の効果や限界,課題を明らかにする」に関して,初年度にもかかわらず一定の成果を挙げることができたと考えられる。このような理由で本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更に関しては特にない。令和6年度も,予定通り,東日本大震災の津波被災地の復旧事業で行われた個々の環境保全事業の現状の記録や,保全以外の多面的効果の発揮状況に関して調査・分析を進める予定である。昨年度は初年度にもかかわらず一定の成果物を公表できたので,今年度も得られた成果の公表に努めていきたい。また,引き続き関連する他の研究グループとの情報交換や研究交流を行うとともに,積極的に地域に普及・啓発をはかる予定である。 2024年1月に発生した能登半島沖地震についても引き続き臨機応変にたずさわり,研究成果の社会貢献に努める予定である。他の研究組織の動向など,現地の状況に応じて,必要性があれば研究対象に加えることも検討する。
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