研究課題/領域番号 |
23H00530
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
福原 長寿 静岡大学, 工学部, 教授 (30199260)
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研究分担者 |
河野 芳海 静岡大学, 工学部, 准教授 (50334959)
孔 昌一 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (60334637)
立川 雄也 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70587857)
渡部 綾 静岡大学, 工学部, 准教授 (80548884)
小倉 鉄平 関西学院大学, 工学部, 教授 (90552000)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,450千円 (直接経費: 36,500千円、間接経費: 10,950千円)
2024年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2023年度: 20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
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キーワード | メタネーション / ドライリフォーミング / 構造体触媒システム / 固体炭素捕集 / CO2資源化 / グリーンハウスガス / CO2処理 / メタン化反応 / オートメタネーション / 構造体触媒 / ドライ改質反応 / 固体炭素 / 合成ガス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、温室効果ガス(GHG)であるCO2を触媒材料により化学変換し、その削減と資源化を図るCCU型触媒プロセスを構築する。具体的には、プロセス排出のCO2ガス(CO2+空気成分、CO2の分離・濃縮なし)からメタン化反応でCH4を製造し、製造CH4をCO2とのドライ改質反応で合成ガス(CO+H2)へと変換する。そして、この合成ガスから固体炭素を捕集しつつ、フィッシャー・トロプシュ(FT)反応でグリーン系炭化水素資源を製造する触媒プロセスを構築する。いずれの触媒変換システムも、原料の大量処理と熱エネルギーの効率的な制御を実現する構造体触媒システムで構築することを基本としている。
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研究実績の概要 |
本研究では、産業プロセス排ガス中のCO2を構造体触媒システムによって処理し、燃料となるCH4やC1化学産業の原料となる合成ガスを製造すること、また合成ガスから固体炭素を連続的に捕集する触媒反応プロセスを構築する。COP26で我国が宣言した、CO2の削減値目標に貢献する触媒プロセスの開拓が目的である。今年度の研究推進から以下の成果が得られた。 1.実排出CO2ガスの濃度変化を考慮したメタン化反応におけるCO2濃度と反応特性との関係を調査したところ、構築システムは低濃度から高濃度にわたって安定な高い変換特性を示した。O2共存も変換特性にプラス効果を与えた。実理面での重要な知見が得られた。 2.構造体触媒の機能性アップを検討し、構造体基材の工夫によってかなりのパワーアップを図ることができた。この技術的な知見はこれまでの触媒化学の反応促進法に新たな概念を加えるものであり、学理の開拓につながった。 3.メタン化反応とドライ改質反応に対して高い反応性を示すハイパワーな構造体触媒が開発できた。原料ガス処理量が、メタン化反応で1~10 L/min、ドライ改質で0.5~1L/minの高速供給でも高い触媒機能性を示した。 4.固体C捕集場のプロセス強化について検討し、捕集システムに工夫を施すことでCOP会議の2030年約束草案値をクリアする捕集率を得ることができた。また、捕集用構造体触媒はリサイクル可能であり、捕集率も比較的安定していた。 5.プロセスのエクセルギー評価から、構築した連結型触媒プロセスは産業プロセス排出CO2ガスの大量処理とその資源化において有効であり、社会実装性があるものと判断された。また、圧力損失と熱エネルギー交換の観点から、触媒充填型システムでは本研究のような連結型反応プロセスの構築は不可能であることが判明した。構造体触媒システムの大きな利点と判断された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
対象とする連結型プロセスの各反応工程における機能性が当初予定値よりも向上することができた。特に、固体炭素の捕集工程ではCOP会議の約束草案値(2030年の目標値46%)以上の捕集率を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに構築した、メタン化反応+ドライ改質反応+固体C捕集の連結型触媒反応プロセスの各反応工程に係わるプロセス強化を図る。そのために、以下の項目について研究推進を図る。 1.メタン化反応(第一段階)で使用するH2量を削減することを目的に、H2濃度の変化(両論数を基準)がメタン変換特性に及ぼす影響を調査する。加えて、この変化が全体プロセスに及ぼす影響を検討する。 2.第一段階での操作条件の変化がドライ改質特性(第二段階)に及ぼす影響を調査する。構造体触媒の改質特性はもとより、触媒寿命、炭素析出耐性の観点を中心に、物性情報も集積して学理的な理論面から検討する。 3.固体C捕集プロセス(第三段階)について、上記の反応ガス濃度の条件変化が捕集状況に及ぼす影響を調査する。また、捕集Cの物性測定を行ない、その電子材などへの利用について検討する。 4.本プロセス内の各反応場で使用する構造体触媒システムの利点について、数値シミュレーションによる検討を中心に、通常の触媒充填システムと比較した学理的な調査を実施する。 5.1~4の結果をもとに、産業プロセス排出CO2ガスを処理する連結型反応プロセスのさらなるブラシュアップを図る。また、熱力学的な指標値(エクセルギーなど)によるプロセスの利点や欠点、また社会実装化を図るための課題点などのリストアップを図る。
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