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滲出液中老化細胞を標的とした選択的創傷治癒促進セノリティクス

研究課題

研究課題/領域番号 23H00547
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 中区分90:人間医工学およびその関連分野
研究機関東京大学

研究代表者

仲上 豪二朗  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (70547827)

研究分担者 真田 弘美  石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (50143920)
小嶋 良輔  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (10808059)
酒井 崇匡  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70456151)
野村 征太郎  東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (10722118)
峰松 健夫  石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (00398752)
秋下 雅弘  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター, 東京都健康長寿医療センター研究所, センター長 (00261975)
佐久間 一郎  東京電機大学, 総合研究所, 特別専任教授 (50178597)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2025年度)
配分額 *注記
36,790千円 (直接経費: 28,300千円、間接経費: 8,490千円)
2025年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
キーワード看護理工学 / 創傷ドレッシング / 細胞老化 / 低周波振動 / 難治性創傷 / リキッドアセスメント / ポイントオブケア
研究開始時の研究の概要

本研究は、看護理工学研究により、創傷滲出液老化細胞の除去という新たなコンセプトの、侵襲のないセルフケア創傷ドレッシング材を開発する。老化細胞は慢性炎症の原因である一方で、すべて除去すると創傷治癒が遅延することから、創傷治癒メカニズムに不可欠な機構でもある。我々は創傷滲出液中に過剰に存在している老化細胞を適切に除去することで、創傷環境を最適化し、治癒が促進するという仮説を立てた。しかし創傷滲出液中に老化細胞がどのように発生し、創傷治癒に影響しているのかは全く明らかになっていない。本研究では、創傷滲出液細胞の老化メカニズムの解明から滲出液中老化細胞をターゲットにしたセノリティクスの開発を目指す。

研究実績の概要

近年、創部の細胞老化が慢性炎症を誘導し、創傷の難治化を引き起こしていることが報告されているが、創部の細胞老化は通常機構として創傷治癒に不可欠であり、創部の老化細胞をすべて除去することは創傷治癒を阻害する。そこで、滲出液中に豊富に含まれる炎症性タンパク質と細胞老化によって誘発される細胞老化関連分泌現象(SASP)因子が一致することに着目した。
難治性創傷の滲出液中で細胞老化が生じているかを確認するため、創傷被覆材から生細胞を回収し、細胞老化やSASPに関連する遺伝子発現を解析した。滲出液中の老化細胞の特徴を示すための横断的解析として、年齢などの患者特性との相関や遺伝子間の発現量の相関を調べた。また、滲出液中の細胞老化関連遺伝子の発現と創傷治癒の関連を明らかにするための縦断的解析として、創面積減少割合と細胞老化遺伝子の発現量の関連を線形混合効果モデルで解析した。
細胞老化を示す遺伝子の発現が確認され、CDKN1Aと年齢の患者の年齢の相関係数は0.527であった。また、SASP因子の遺伝子発現量との間に正の相関を認めた。CDKN1Aの発現量の少なさは、1週間後の創面積減少割合の大きさと有意に関連していた。
続いて、滲出液の老化細胞除去方法を検討するため、in vitro実験に移行した。NIH/3T3細胞に過酸化水素水を曝露させることで細胞老化を誘導した。その後、過酸化水素水によって誘導された老化細胞と通常細胞を混ぜる割合を条件を設定し、スクラッチアッセイを実施したところ、老化細胞を割合が増えることでスクラッチ部分の閉鎖が遅延することを確認した。これにより、過酸化水素水による老化細胞の治癒遅延モデルを確立した。このモデルでの老化細胞では、老化関連の遺伝子発現が有意に上昇することを確認しており、現在、それをターゲットにする中和抗体による細胞老化除去の検討を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

滲出液中の老化細胞の存在が創傷治癒遅延を引き起こしていることを臨床研究により見出し、その除去が創傷の難治化を抑制する可能性を示すことができたことから、本研究のコンセプトの根幹を確認できた。また、老化細胞の割合をコントロールすることで創傷治癒遅延を簡便に模倣できる実験系を確立できたため、次年度より老化細胞除去方法のスクリーニングに供することが可能となった。以上より、おおむね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

本年度確立した系を基に、老化細胞を効率的かつ安全に除去する方法の探索に取り組む。

報告書

(2件)
  • 2023 審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A method for harvesting viable cells from wound dressings2023

    • 著者名/発表者名
      Qin Qi、Haba Daijiro、Takizawa Chihiro、Tomida Sanai、Kunimitsu Mao、Minematsu Takeo、Sanada Hiromi、Nakagami Gojiro
    • 雑誌名

      Experimental Dermatology

      巻: 32 号: 9 ページ: 1521-1530

    • DOI

      10.1111/exd.14857

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Local low‐frequency vibration accelerates healing of full‐thickness wounds in a hyperglycemic rat model2023

    • 著者名/発表者名
      Haba Daijiro、Qin Qi、Takizawa Chihiro、Tomida Sanai、Minematsu Takeo、Sanada Hiromi、Nakagami Gojiro
    • 雑誌名

      Journal of Diabetes Investigation

      巻: 14 号: 12 ページ: 1356-1367

    • DOI

      10.1111/jdi.14072

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Efficacy of wearable vibration dressings on full‐thickness wound healing in a hyperglycemic rat model2023

    • 著者名/発表者名
      Haba Daijiro、Ohmiya Takafumi、Sekino Masaki、Qin Qi、Takizawa Chihiro、Tomida Sanai、Minematsu Takeo、Sanada Hiromi、Nakagami Gojiro
    • 雑誌名

      Wound Repair and Regeneration

      巻: 31 号: 6 ページ: 816-826

    • DOI

      10.1111/wrr.13129

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高血糖ラット全層欠損創におけるウェアラブルバイブレーションドレッシングによる細胞老化抑制効果2023

    • 著者名/発表者名
      幅 大二郎, 滝沢 知大, 秦 斉, 冨田 早苗, 真田 弘美, 仲上 豪二朗
    • 学会等名
      第11回看護理工学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 局所低周波振動による細胞老化抑制に伴う創傷治癒促進効果の検証2023

    • 著者名/発表者名
      滝沢 知大, 幅 大二郎, 秦 斉, 冨田 早苗, 真田 弘美, 仲上 豪二朗.
    • 学会等名
      第11回看護理工学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 高血糖ラットモデル全層欠損創への局所低周波振動刺激による細胞老化抑制効果の検証2023

    • 著者名/発表者名
      幅 大二郎, 滝沢 知大, 秦 斉, 冨田 早苗, 堀之内 愛, 真田 弘美, 仲上 豪二朗.
    • 学会等名
      第53回日本創傷治癒学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] 東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 老年看護学/創傷看護学分野

    • URL

      http://www.rounenkango.m.u-tokyo.ac.jp/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2025-06-20  

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