研究課題
基盤研究(B)
多数の遷移金属原子を含むクラスター錯体は、構造をほとんど変化させることなく柔軟に酸化還元することを特徴とする。この特徴を生かして、例えばタンパク質に存在する自然界のクラスター錯体は、N2還元やCO2還元、O2発生に代表される、高難度の多電子反応を触媒する。特に還元系の反応を触媒する自然界のクラスター錯体がFeを用いることに着想を得て、本研究では「反応性を付与した」Feクラスター錯体を新たに創製して反応に用いる。大きさや構造が一義的でなく分布がある金属ナノ粒子と異なり、「分子」である本研究のFeクラスター錯体は構造と組成が厳密に定まり、構造と反応性の相関を知る基礎科学に適する。