研究課題/領域番号 |
23H05001
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
1160:社会学、心理学およびその関連分野
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研究機関 | 兵庫県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
研究代表者 |
大塚 拓朗 兵庫県警察本部刑事部科学捜査研究所, 警察研究職員
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
380千円 (直接経費: 380千円)
2023年度: 380千円 (直接経費: 380千円)
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キーワード | 欺瞞 / 記憶 / 否認 / 犯罪捜査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では犯罪捜査場面における欺瞞行為による記憶変容のメカニズムを明らかにすること目的として、日誌法を用いた記憶実験を行う。実験では、大学生の実験参加者に事件に関与した人物を装わせ、視聴した模擬犯罪の内容に対して否認、虚偽作話、及び正直な供述を行わせる。その後、実験参加者に無意図的に想起した記憶内容を日誌法で記録させるほか、一定期間経過後に意図的に想起した記憶内容について欺瞞行為を行わずに報告させる。無意図的に想起した記憶内容と意図的に想起した記憶内容のそれぞれの特徴と両者の関係について分析を行う。
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研究成果の概要 |
本研究は、犯罪場面における否認による記憶変容の仕組みを明らかにすることを目的とした。実験では、模擬犯罪場面を視聴した参加者を正直群(犯罪について正直に記述・回答を行う群)、否認群(犯罪について関与を否認する記述・回答を行う群)及びdelay群(映像の視聴のみを行う群)に振り分けた後、2週間後に映像に関する記憶テストを実施した。また、正直群と否認群の参加者には、記憶テストを受けるまでに思い出した内容を日誌法の手続きで報告させた。その結果、正直群、否認群及びdelay群の順に再生率が低下した。日誌法で得られた実験に関する無意図的な記憶の想起率は正直群と否認群の間に有意な差は認められなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
犯罪捜査において、事件関係者の記憶の変容は誤認逮捕や冤罪など重大な結果に繋がることがあるが、犯罪捜査に非協力的な犯人が記憶している事件の内容を意図的に否認する欺瞞行為が記憶に及ぼす影響を検討した研究は限られている。本研究は、犯罪捜査場面における否認による記憶への影響を実証したものであり、この成果は、欺瞞行為による記憶変容の仕組みの解明に寄与することが期待されるものであった。
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