博物館・動物園・水族館(以下、博物館施設)と連携し、博物館施設の空間を仮想的に巡るVRシステムを利用した学習のプログラムを考案し、博物館施設から離れた全国のどこの学校でも活用することができる汎用性の高い学習コンテンツの開発を目指した。コロナ禍での博物館施設は、ライブ配信などの園館の情報を積極的にWeb上に公開することに加え、近年ではVR(Virtual Reality)システムを導入して、博物館施設から離れた場所からICT機器を使って博物館施設内を仮想的に見学して回ることができるようになった。そこで、専門家との積極的な意見交流を土台にして、生徒が1人1台端末を利用して博物館施設の情報にアクセスしてバーチャルに博物館施設を巡りながら行う学習を構築するために、全国の博物館施設のWeb情報を収集して、日常的な学習をさらに深める学習コンテンツを作成した。博物館施設から物理的に離れているどの学校、どの教員でも活用しやすい指導方法をパッケージ化した学習プログラムを考案し、学校と博物館施設と連携した学習の普及を書籍の執筆、ワークシートの冊子化、全国中学校理科教育研究会での発表、学術学会での発表、教員研修の講師活動などを通して全国の学校現場での推進を進めた。 ①動物園・水族館で生活する生物のライブ配信を利用した動物の観察学習 ②国立科学博物館のVR配信を利用して博物館内を仮想的に巡る授業開発 ③奄美大島の生物多様性と保全活動を学ぶ授業の開発 本研究の特色は、生徒が学校の教室にいながら全国の博物館施設を展示見学することを実現したことである。中学校の学習指導要領に関連付いている情報を事前に精査し、理科の学習を深められる的を絞った学習にした。学校外での博物館利用の機会が極めて少ないと言われる中学生の博物館利用のきっかけを作り出す観点から言っても大きな意義があると考えられる。
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