未来への基盤づくりとして,政府が掲げたAI戦略2019をもとに,小学生から「プログラミング的思考」や「IoTやAIを活用するスキル」を習得するための教育改革が進んでいる.これに対して,現在の大学生の多くがプログラミング未経験者であり,AI・IoT社会(Society5.0)に必要なスキルを身に付けられていない可能性がある.そこで,本研究では大学在学中に,実社会で必要な知識を楽しみながら無理なく段階的に上げていく「IoT×AIスキル学習プログラム」を開発する.
IoTデバイスとAIエッジカメラを活用して,プログラミング基礎・CG・センサ・モータ制御・データロガ・SNS通知・遠隔操作・画像認識を楽しく学べる「IoT×AIスキル学習教材」を開発した。本教材を用いた講座を全8学科全学年の学生に向けて告知し,応募があった6学科1,2,4年生15名で14コマ分の集中講義を実施した.グループ学習の活発化と学習効果を向上させるため,学科の異なる学生を3~4名程のグループに分け,課題解決実習を実施した.更に,能動的に学びを深め,分野横断型の新しい学びと文理融合型のアイデアを創造させるため,習得した知識を活かして,「日常生活であったらいいな」と思う作品を考案させ,プレゼンテーションを実施した.
教育効果の検証を行うため,講義の初日と最終日に論理的思考力を問う適性検査CABと授業アンケートを実施した.適性検査の結果,法則性と命令表において有意な差が生じていることから,本講座を受講することで,論理的思考力が向上する可能性があることが確認された.授業アンケートからは,開発した教材はプログラミング未経験者の大学生にも,「楽しく・入り込みやすく・分かり易い」教材であることが分かった.以上のことから,開発した教材は大学の「AI教育プログラム」や「キャリア教育」において活用することも十分可能と考えられる.
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