東日本大震災を受けて制定された福島復興再生特別措置法に基づき、災害公営住宅の特例として、原子力災害の避難者を対象とした「特定帰還者向け公営住宅」が整備された。阪神淡路大震災以降、被災地の住宅においては入居者の孤独死やその一因である孤立、すなわち社会関係の分断や喪失が課題とされているが、特定帰還者向け公営住宅については詳細が明らかとなっていない。本研究は、入居者の属性と建築空間の特性を解明し、建築空間が避難者の社会関係に与える影響を把握することを目的とする。これは、現状の課題を提示するだけでなく、将来の災害発生時における居住政策の策定にも有効なデータとなることが期待されるものである。
|