研究代表者の新たな研究課題が研究活動スタート支援(23K19156)に採択されたため、本研究課題は8月末をもって廃止した。以下は廃止時点での実績である。 【研究目的】本研究では、特定帰還者向け公営住宅の入居者属性及び空間特性を明らかにし、空間特性が避難者の社会関係に与える影響の把握を目的とし、具体的には次の3点の解明を試みた。(目的①)各団地入居者の属性と社会関係における特徴 (目的②)各団地の使われ方・社会関係構築に寄与する空間特性 (目的③)現状の使われ方に至った経緯・社会関係が構築された過程 【研究方法】課題廃止までに行った研究は以下の通りである。これらの続きは新たな研究課題に引き継がれる。 (目的①)まずは既往研究のレビューにより、社会関係に関する概念整理を行った。 (目的②)聞き取りおよび文献等の調査により、寄与しうる空間の1つを推定した。 【研究成果】本研究で扱う社会関係とは社会的孤立を指し、特に社会的交流の程度で評価できる可能性が示された。併せて閉じこもりの観点から、特定帰還者向け公営住宅の入居者が「高齢・低人口密度」を満たす高リスクの状態にある可能性が高いことが分かった。また、社会関係構築に寄与する空間として、住宅や外構そのものに留まらず、地域開放を企図して設計・整備された学校施設の存在が明らかになった。これらの成果を基に新たな研究課題を設定し、これが採択された。本研究を発展させた新たな研究において、住宅や施設の個別事業に留まらず、地域全体を対象とした居住政策の策定に向けた検討の契機となることが期待される。
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