研究課題/領域番号 |
23H05253
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
3140:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 千葉県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
研究代表者 |
井下 泰地 千葉県警察本部刑事部科学捜査研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
480千円 (直接経費: 480千円)
2023年度: 480千円 (直接経費: 480千円)
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キーワード | 麻薬 / 代謝物 / 質量分析 / MDMA / HMMA |
研究開始時の研究の概要 |
違法薬物の使用証明には、尿からの薬物未変化体及びその代謝物の検出が必要不可欠である。麻薬であるメチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)は主にヒドロキシメトキシメタンフェタミン(HMMA)の硫酸抱合体へ代謝される。しかし、この代謝物のガスクロマトグラフィー質量分析を行うためには多段階かつ煩雑な前処理が必要となる。この代謝物を生体内で進行する芳香族求電子置換反応(プレニル化反応)に注目して誘導体化し、前処理に必要な全ての工程を単一容器内(ワンポット)で行うことを着想した。本研究は、尿中でのプレニル化反応を利用したワンポット前処理法を開発し、尿中MDMA代謝物の簡便かつ迅速な分析法の確立を行う。
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研究成果の概要 |
違法薬物として乱用が散見されるメチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)の代謝物について生体中で進行するプレニル化反応(生合成反応)をベースに新規前処理法の検討を行った。MDMA代謝物水溶液を試料として誘導体化試薬や酸触媒の種類、加熱温度、時間等を変化させて、MDMA代謝物誘導体が効率よく得られる条件を探索した。また、MDMA代謝物誘導体の抽出条件についても併せて検討した。結果、固体酸触媒を用いた条件において効率よくMDMA代謝物誘導体が得られ、簡便な手順で抽出することが可能であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
MDMA代謝物の分析は、麻薬であるMDMA使用事実の証明に必要不可欠である。本分析は、犯罪事実の証明及び関連犯罪捜査の一助となることから迅速性、簡便性が強く求められる。本研究は、生合成反応を新規誘導化反応として取り入れ、MDMA代謝物を水性試料中で誘導体化し、容易に抽出可能であった。本手法の確立は、煩雑であったMDMA代謝物分析の迅速化に寄与し、違法薬物等の誘導化手法の一つとして新たな潮流を生み出し得ると考えられる。
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