研究課題
奨励研究
大動脈解離は動脈硬化や高血圧を背景に引き起こされ、高い確率で死に至る臨床上重要な疾患である。本疾患は極めて急速に発症・進展し突然死の原因となるため、発症予防策を確立することが喫緊の課題である。心血管疾患予後における主要な危険因子である糖尿病は大動脈疾患について疫学・観察研究で負の相関が確認されており、その理由の一つとして糖尿病薬が関与しているとの報告がある。そこで本研究では、FAERS 解析により大動脈解離予防薬候補として見出された糖尿病薬のDPP-4 阻害薬の解離発症予防効果及びその作用機序を基礎研究の手法を用いて明らかにする。
大動脈解離は動脈硬化や高血圧を背景に引き起こされ、高い確率で死に至る臨床上重要な疾患である。研究代表者はアメリカ食品医薬品局に集積された有害事象自発報告データベース (FAERS) 解析から大動脈解離を抑制し得る既存承認薬を探索した結果、糖尿病薬の DPP-4 阻害薬を見出した。培養ヒト臍帯静脈内皮細胞を用いた検討から DPP-4 阻害薬であるシタグリプチンにはマクロファージの血管壁への接着・浸潤を抑制することで抗炎症効果を示す可能性が示唆された。また、別の FAERS 解析から大動脈解離を抑制し得る既存承認薬として糖尿病薬である SGLT-2 阻害薬のエンパグリフロジンについても見出した。
大動脈解離は動脈硬化や高血圧を背景に引き起こされ、高い確率で死に至る臨床上重要な疾患である。本疾患は極めて急速に発症・進展し突然死の原因となるため、発症予防策を確立することが喫緊の課題である。本研究で着目した大動脈解離発症予防薬候補である DPP-4 阻害薬と SGLT-2 阻害薬であるエンパグリフロジンは、薬物動態・安全性などの製剤情報が熟知されている既存薬であることから、基礎研究で得られた成果を迅速に臨床応用に繋げることが可能となるという点で、臨床的に非常に有意義である。
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Biomedicine and Pharmacotherapy
巻: 167 ページ: 115504-115504
10.1016/j.biopha.2023.115504