研究課題/領域番号 |
23H05270
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
3180:医療薬学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
税所 篤行 山口大学, 医学部附属病院, 薬剤主査
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
430千円 (直接経費: 430千円)
2023年度: 430千円 (直接経費: 430千円)
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キーワード | 生物学的製剤 / 費用対効果 / 薬剤経済研究 / 炎症性腸疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
生物学的製剤は広範な疾患領域で生存期間延長や生活の質改善に貢献している一方、使用期間の長期化に伴う使用量の増大により、医療財政への負荷が懸念されている。そこで、炎症性腸疾患(IBD)患者における生物学的製剤の効率的な投与方法を明らかにする目的で、医療記録から患者情報(年齢、性別、身長、体重、喫煙歴、IBD関連手術歴、併用治療、併存疾患、生物学的製剤投与中止理由、治療に関連する合併症、検査値(炎症マーカー、栄養マーカー等))および各種医療費を調査することにより、費用対効果に影響を及ぼす因子を探索することとした。
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研究成果の概要 |
本研究では費用対効果に優れた臨床判断を支援するための薬剤経済学的エビデンス創出を目的として、生物学的製剤による炎症性腸疾患(IBD)の治療効果と医療費との関連を調査した。調査対象は山口大学医学部附属病院で生物学的製剤が使用されたIBD患者183症例とし、調査項目は患者背景、IBD治療内容、各種検査値、IBD治療のための薬剤費や入院費、手術費等の関連医療費とした。治療効果の優劣で分類した群間におけるそれぞれの医療費月額では、薬剤費は治療効果が高い群の方が有意に安価であった。治療効果と有意な関連を示した因子は「BMI≧25 kg/m2」および「治療期間中における低アルブミン状態の期間」であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中等度の炎症性腸疾患(IBD)の治療では生物学的製剤は欠かすことのできない薬剤であるが、高額な薬剤を慢性疾患に長期使用することによる公的医療財源への影響が懸念されており、他国では費用対効果の検証を目的とした薬剤経済研究が行われている。一方、我が国においては、IBD患者の実臨床データを用いた薬剤経済研究は少ない。本研究結果により、生物学的製剤を長期使用されているIBD患者での治療効果の改善と医療費の軽減は有意に相関していることが明らかとなり、生物学的製剤の費用対効果には肥満と低アルブミン状態の影響が示唆された。そのため、これらの状態の是正により治療効果改善と医療費軽減に寄与する可能性が示された。
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