研究課題/領域番号 |
23H05340
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
3200:腫瘍学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
阪口 真希 金沢大学, 医学系, 助教 (40995461)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
480千円 (直接経費: 480千円)
2023年度: 480千円 (直接経費: 480千円)
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キーワード | 血管芽腫 / 周皮細胞 / α-SMA |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では嚢胞性脳腫瘍の代表である血管芽腫において、嚢胞形成における周皮細胞の関与を明らかにする。脳腫瘍内に液体の貯留した嚢胞を形成することは稀ではなく、臨床経過の悪化や再発の原因になりうる。そのため、嚢胞形成のメカニズムを解明することは臨床成績の改善に直結する。また病理診断に際し、嚢胞を構成する細胞の由来は腫瘍の成り立ちを考える上で重要である。毛細血管の構成要素である周皮細胞は、血液脳関門の発達・維持に不可欠とされる。周皮細胞は腫瘍、感染症、認知症などの様々な病態に関与することが知られ、周皮細胞を標的とした新規治療開発が進んでいる。本研究は嚢胞性脳腫瘍の新たな治療法につながる基礎研究である。
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研究成果の概要 |
本研究は、血管芽腫の嚢胞形成における周皮細胞の関与を明らかにすることを目的とした。血管芽腫では、毛細血管レベルにおいてα-SMAの発現がみられ、正常毛細血管では存在しないα-SMA陽性血管壁細胞が存在していた。嚢胞型と充実型でα-SMA, PDGFRBの発現を比較したところ、前毛細血管細動脈から毛細血管においてα-SMAの発現が充実型で有意に高かった。蛍光二重免疫染色によるα-SMA陽性細胞の観察で、毛細血管において周皮細胞に特徴的なbump-on-a-logの形態を示した。血管芽腫において、細血管におけるα-SMAを発現する血管壁細胞は嚢胞形成において抑制的に関与していた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
血管芽腫の約60%は嚢胞を形成し、その増大により重大な神経障害を引き起こすため、臨床上の課題となっている。嚢胞形成の機序はこれまでに解明されておらず、血管芽腫嚢胞形成に血管壁細胞が関与することを明らかにした本研究成果は、学術的意義がある。また、臨床的に手術困難例に対して、嚢胞を制御する新規治療開発のための基礎的データとなる点で社会的意義を有する。
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