研究課題/領域番号 |
23H05344
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
3210:内科学一般、器官システム内科学、生体情報内科学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
岡本 里穂 金沢大学, 附属病院, 診療放射線技師
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
480千円 (直接経費: 480千円)
2023年度: 480千円 (直接経費: 480千円)
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キーワード | 磁気共鳴画像診断装置(MRI) / 水分子揺動解析 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,画像定量が一層重要視されるようになり,脳の拡散イメージングにおいても定量評価として見かけの拡散係数(ADC)が使用されている.脳血管拍動及び呼吸によって生じる脳実質の周期運動がADCの過大評価の原因になっているが,ADC変化の主因はこれらの脳実質の動きを外力として脳実質内の水分子が揺り動かされること(水分子揺動)の可能性が高いことが明らかになった.しかしこのADC変化において,水分子揺動が占める正確な割合や血管拍動と呼吸の水分子揺動への寄与など,多くの事項が未解明である.そこで本研究では脳実質の周期運動がADCを変化させる機序を解明し,水分子揺動を完全定量解析する手法の確立を目的とする.
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研究成果の概要 |
磁気共鳴画像診断装置(MRI)を使用して脳血管拍動によって生じる脳実質の周期運動が見かけの拡散係数(ADC)を変化させる機序を解明し,水分子揺動を完全定量解析する手法の確立を目的とした.動き補正拡散イメージングを使用したにも関わらず,心周期において脳の白質のADCに変化がみられた.また,動き補正拡散イメージングの使用の有無に関わらず,領域間のADC変化率に有意差は認められなかった.このことから心周期における脳実質のADC変化は白質の領域に依らず,その主因は脳拍動自体のbulk motionではなく,脳の拍動によって生じる水分子の揺動である可能性が高いことが明らかになった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳のADC測定値が心周期中に変化する要因は,脳拍動自体のbulk motionによる直接作用と脳の拍動を外力として脳実質内の水分子が揺り動かされる間接作用(水分子揺動)が考えられ,これらの寄与の違いに関しては未解明であった.そこで1次及び2次モーメントの速度補正用拡散傾斜磁場を使用して検証し,脳における心周期中のADC変化は白質の領域に依らず,その主因が水分子揺動であることを初めて明らかにした.この機序の詳細を解明すれば,脳の生理機能の一端が明らかになるため,脳組織物性の変化や脳脊髄液循環障害を伴う疾患(神経変性疾患や特発性正常圧水頭症など)の診断や病態の解明に役立つことが予想される.
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