| 研究課題/領域番号 |
23H05402
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| 研究種目 |
特別推進研究
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| 配分区分 | 補助金 |
| 審査区分 |
人文社会系
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| 研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60609676)
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| 研究分担者 |
永吉 希久子 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (50609782)
中澤 渉 立教大学, 社会学部, 教授 (00403311)
香川 めい 大東文化大学, 社会学部, 准教授 (00514176)
長松 奈美江 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30506316)
瀧川 裕貴 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (60456340)
保田 時男 関西大学, 社会学部, 教授 (70388388)
有田 伸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30345061)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2030-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
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| 配分額 *注記 |
610,740千円 (直接経費: 469,800千円、間接経費: 140,940千円)
2025年度: 122,850千円 (直接経費: 94,500千円、間接経費: 28,350千円)
2024年度: 126,230千円 (直接経費: 97,100千円、間接経費: 29,130千円)
2023年度: 60,060千円 (直接経費: 46,200千円、間接経費: 13,860千円)
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| キーワード | 社会階層 / 社会移動 / SSM調査 / 社会調査 / 格差・不平等 / 社会階層・社会移動 / ウェブ調査 / 外国籍住民 / 自動コーディング / 機械学習 / 因果推論 |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究は,1955年から10年ごとに実施されている「社会階層と社会移動の全国調査」(Social Stratification and Social Mobility Survey:SSM調査)の第8回目の調査を2025年に行う.そして70年間の長期的なトレンドを考慮しながら,社会の変化と格差・不平等および社会的分断がどのように関係しているかを明らかにする.さらに,これまでの調査では理解が難しかった外国籍の住民や生活に困難を抱える人々も分析対象に加え,また継続的に調査を行うことで,「分断化・多様化する社会」における格差・不平等の実態を長期的な視点から明らかにする.
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| 研究実績の概要 |
研究実施計画に基づき主に9つの課題を実施した.(1)SSM調査の実施に向けた体制づくりや調査の準備を行い,研究メンバーは166名(院生・ポスドクメンバーは58名)となった.全体ミーティングを8月に行い,2025年調査のテーマや課題の共有を行った.(2)12のテーマ別研究会(ジェンダー・セクシュアリティ,ライフコース・キャリア,意識・健康・ウェルビーイング,移民・政治,家族・人口,教育1,教育2,雇用・労働,社会移動・階層,地域・ネットワーク,貧困・排除・分断)を組織し,テーマの共有や議論が行われた(各研究会2回).(3)国内の学会等での報告を計16件,(4)国際学会等での報告を計10件行った.国内学会ではプレ調査の回収率についての基礎分析の結果を報告した.(5)方法論に関するワークショップを行い,職歴データの変換・分析方法と再現可能性についてメンバー内で共有された.(6)国際ワークショップを開催し,2名の若手研究者を海外(カナダ,シンガポール)から招聘した.研究会メンバーから6件の口頭報告,13件のポスター報告があり,国際的な研究ネットワークの構築と成果発信の強化・促進を行った.(7)24年12月に再度プレ調査を行い,昨年度からの計2回のプレ調査結果を踏まえ25年3月開始の本調査の準備を行った.質問項目の詳細な検討により調査票(訪問面接調査票・留置票)を改善し,オンラインでの留置票の準備をQualtricsにて行った.25年3月より,第1期の調査を開始した.調査会社だけではなく,研究者側も26地点(計520名)の調査を担当することとし,3月は関東地方の3地点(計60名)で若手研究者を中心に実査を行った.(8)調査対象者の利便性を重視したホームページを作成した.(9)最先端の大規模言語モデルによるSSM職業分類とISCOへの自動コーディングシステムを開発し,性能を向上させた.
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトの進捗は当初の予定通りに進展している.郵便料金の値上げ,人件費の値上がり,調査員の不足等といった様々な要因により,調査会社への業務委託には当初予定より時間・費用がかかることになり,また実査に多くの研究者側の調査員の導入も必要となった.そのため外国籍住民調査については翌年度以降実施することになった.しかし,本プロジェクトの中心となる訪問面接・留置調査については3月より問題なく実施され,大きなトラブルはなく順調に調査が進んでいる.また,これによって外国籍住民調査の実施に大きな影響はなく,また訪問面接・留置調査の様子を見たうえでの設計や調査内容の検討が進められている.研究会メンバーは160名(そのうち院生・ポスドクメンバーは58名)を超え,12のテーマ別研究会によって多くの報告・議論が行われた.研究者側の実査の体制も整い,26地点(計520名)について,大学院生を中心とした若手研究者に調査員として参加する機会を提供し,実践的な社会調査のスキル習得を促進した. 国際ワークショップの実施を通じて,企画・運営の体制が整理され,毎年海外の若手研究者を招聘し,また研究会メンバーの国際的な発信が強化・促進されている.職業の自動コーディングシステムについてはSSMが伝統的に用いてきた職業分類だけではなく国際的な職業分類であるISCOについても精度の高い結果を出力するように改善され,国際比較可能なデータの構築の準備が整った.以上を踏まえると,調査の実施および調査データが得られた後の分析の準備は十分に整い,おおむね順調に進展しているといえる.
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| 今後の研究の推進方策 |
2025年3月に開始された実査の現状から,高回収率達成の困難さが明らかになっている.この課題に対応するため,第1期(3月から4月)の回収データ分析に基づき,再調査方法と実施可能性の検討を進める.整備された研究者側調査員体制を活用し,主に研究者チームによる再調査・再々調査を実施することで,従来のSSM調査と同等の高水準データ構築を目指す. この過程は若手研究者にとって社会調査データ活用における貴重な経験となる.質の高い調査データ収集には時間を要するが,調査活動と並行して理論・方法論ワークショップを継続的に開催することで,迅速かつ高水準の研究成果発信を実現する. 2025年も昨年度同様に国際ワークショップを開催し,海外から2名の若手研究者を招聘する予定である.この機会を通じて国際的な研究ネットワークの構築と成果発信の強化・促進を図る. 職業データコーディングについては,開発した自動コーディングシステムを活用しつつ,独立したマニュアルコーディング作業も経験することで,現代社会における職業変化のパターン,タイミング,背景要因を深く理解しながらデータ分析を進める.この二重アプローチにより,技術革新の利点を取り入れながらも,データの社会的文脈に対する理解を深めることが可能になる. 外国籍住民調査については翌年度以降実施することになったが,当初予定と比較して大幅に時期が変わるわけではなく問題なく実施できる予定である.むしろ,本調査の経験を活かして外国籍住民調査の設計をより適切に行うことができ,質問項目の精査や調査方法の改善にもつながると考えられる.調査の延期により,外国籍住民の社会的状況や課題をより深く理解した上で実施することが可能となり,結果的により充実したデータ収集につながる見込みである.
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