研究課題/領域番号 |
23H05408
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
相田 卓三 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, グループディレクター (00167769)
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研究分担者 |
三木 卓幸 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (20823991)
HUANG HUBIAO 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 研究員 (40894829)
三苫 伸彦 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 研究員 (90768673)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
616,590千円 (直接経費: 474,300千円、間接経費: 142,290千円)
2024年度: 133,640千円 (直接経費: 102,800千円、間接経費: 30,840千円)
2023年度: 180,310千円 (直接経費: 138,700千円、間接経費: 41,610千円)
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キーワード | 超分子プラスチック / 自己修復ポリマー / 環境調和 / 相分離 / エントロピー / 固体超分子ポリマー / 固体物性 / ダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
超分子ポリマーは溶液中の挙動に焦点をあてることにより発展してきており、固体物性の理解はほぼ未開拓である。また、超分子ポリマーは動的であるが故に力学強度が小さく、構造材料にはならないと考えられてきた。本研究では「超分子ポリマーの固体材料科学」に切り込み、持続可能な未来の実現とその先を目指して、破格の力学強度を有するにも関わらず、条件次第では容易に原料にまで戻せる超分子ポリマーガラスなどの革新的機能材料を創成する。さらに固相における超分子ポリマーの構造-ダイナミクス-物性の相関を明らかにし、従来の高分子科学と新しい超分子ポリマー科学のMissing Linkを繋ぐ。
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研究実績の概要 |
超分子ポリマーは溶液中の挙動に焦点をあてることにより発展してきており、固体物性の理解はほぼ未開拓である。本研究では「超分子ポリマーの固体材料科学」に切り込み、持続可能な未来の実現とその先を目指して、破格の力学強度を有するにも関わらず、条件次第では容易に原料にまで戻せる超分子ポリマーガラスなどの革新的機能材料を創成する。 プラスチック汚染という重大な問題のため、持続可能な未来のための理想的なポリマー材料は、その物理的・化学的特性を損なうことなく、以下の必要条件を満たさなければならない。 (1) ポリマーの製造と加工は、環境に優しく、エネルギーに配慮したものでなければならない。 (2) ポリマーの廃棄物やCO2排出は最小限であるべきである。 (3) ポリマーはリサイクルが容易であり、循環型経済が可能であるべきである。 (4) ポリマーは、一度海洋に投入されれば生物学的に代謝可能であるべきである。 (5) ポリマーは人体や環境に対して毒性がないこと。 本年度は、リン酸塩とグアニジニウム塩をベースとするモノマーから、機械的に強固でありながらも海洋代謝可能なプラスチックのグリーン合成を達成した。この2つのモノマーを水中で混合すると、多価の塩が架橋することで、架橋超分子ポリマーが得られる。このポリマーは、液/液相分離に伴ってモノマーから元の対イオンが排出され、解離性が低下するため、高い力学的強度を示すようになる。続いて得られた超分子ポリマーを乾燥させると、上記の(1)~(5)のすべての要請を満たす物質が得られる。基礎的な観点から最も重要な点は、得られた超分子ポリマーが従来のプラスチックに類似した緩和挙動を示すことである。超分子ポリマーでは、これまでゴムのような緩和挙動しか知られていなかったことを考えると、今回の成果は「超分子ポリマー物理学」という新しい分野を創出するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
固体超分子ポリマーの研究成果をまとめ、世界的に著名な学術誌へ投稿し、査読を受けた。現在は同誌への再投稿に向け、追加実験を行っている段階である。 また、これとは別の多くのプロジェクト(自己修復ポリマーなど)においても、研究計画当初には想定していなかった発見があった。
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今後の研究の推進方策 |
超分子ポリマーでは、これまでゴムのような緩和挙動しか知られていなかったが、今回の研究により「超分子プラスチック」という新しい物質を得た。今後はこの新規材料の力学特性、光学特性に関して詳細な研究を行う。 また、自己修復ポリマーなど他のプロジェクトでの新発見を学術誌にて発表する。
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