研究課題/領域番号 |
23H05426
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分A
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松林 哲也 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 教授 (40721949)
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研究分担者 |
日野 愛郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30457816)
山田 真裕 関西学院大学, 法学部, 教授 (40260468)
重村 壮平 広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 助教 (40888020)
小椋 郁馬 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (40965612)
善教 将大 関西学院大学, 法学部, 教授 (50625085)
大村 華子 京都大学, 法学研究科, 教授 (90612383)
五十嵐 彰 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (90844762)
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研究期間 (年度) |
2023-04-12 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
200,720千円 (直接経費: 154,400千円、間接経費: 46,320千円)
2024年度: 24,440千円 (直接経費: 18,800千円、間接経費: 5,640千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 民主主義 / 投票率 / 業績投票 / 分極化 / 応答性 / 寛容性 / 世論調査 / 国際比較 / 投票参加 / 政治的寛容性 |
研究開始時の研究の概要 |
民主主義の揺らぎはいかにして克服可能なのか?本研究は、投票率の低下、政府の応答性の低下、民主的寛容性の低下、という日本社会が直面する深刻な問題に注目し、これらの問題の原因を解明した上で、問題解決に向けた処方箋の提示を目指す。そのために、本研究は独自の調査システムを民間企業と共同で開発し、さらに国際共同調査に参画することで、大規模かつ代表性の高い意識調査データを構築する。因果効果の異質性を考慮したデータ分析や 国際比較分析を通じて揺らぎの原因に関する知見を蓄積する。最終的に、フィールド実験やサーベイ実験を通じて揺らぎの克服方法の効果検証を行う。
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研究実績の概要 |
民主主義の揺らぎはいかにして克服可能なのか?本研究は、投票率の低下、政府の応答性の低下、民主的寛容性の低下、という日本社会が直面する深刻な問題に注目し、これらの問題の原因を解明した上で、問題解決に向けた処方箋の提示を目指す。そのために、本研究は独自の調査システムを民間企業と共同で開発し、さらに国際共同調査に参画することで、大規模かつ代表性の高い意識調査データを構築する。因果効果の異質性を考慮したデータ分析や国際比較分析を通じて揺らぎの原因に関する知見を蓄積する。最終的に、フィールド実験やサーベイ実験を通じて揺らぎの克服方法の効果検証を行う。
2023年度には主に3つの課題に取り組んだ。一つは自動音声型携帯RDDシステムの新規開発である。民間企業であるJX通信社と連携し、システム開発とそれを使用した試行的調査を2回実施した。本格的な調査の実施に向けたシステム稼働の目処がついた。もう一つは、政府応答性の低下の原因の一つと考えられる党派性に動機づけられた推論に注目し、これが有権者の与党業績評価にどのような影響を及ぼすかについて予備的調査を行った。オンライン上のサーベイ実験から、日本の与党支持者が党派性に基づく業績評価を行っているという結果は得られなかった。最後は日本における統治体制の揺らぎの精査である。Democratic backslidingに関する先行研究を網羅的に収集し、それらを援用することで日本の統治体制の揺らぎの状況を精査する準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には主に3つの課題に取り組んだ。一つは民間企業であるJX通信社との連携を通じた自動音声型携帯RDDシステムの開発である。電話番号の無作為作成、調査への同意取り付け、謝礼支払い、事後説明など、学術調査の必須事項を兼ね備えたシステムの開発を進め、試行的調査を2回実施した。1回目の調査では回収率がふるわなかった。2回目の調査では調査・回収方法を全面的に見直し、事前の説明音声、コール数、謝礼額の見直しを行った。その結果、1000以上の回答者を集めることができ、研究遂行に必要な回答者数を確保することができた。 もう一つは、政府応答性の低下の原因の一つと考えられる党派性に動機づけられた推論の影響の予備的調査である。先行研究を参考にしながらオンライン上でのサーベイ実験を実施した。この実験から、米国とは異なり、日本の与党支持者は否定的な模擬新聞記事を見て経済評価を更新することがわかった。野党派、無党派に関する結果も踏まえて、日本における党派性の影響は限られていることが示唆されている。 最後は日本における民主主義の揺らぎの精査である。本研究課題は有権者が政府をうまくコントロールできていないという揺らぎに注目している。これと同時に重要なのが統治体制の揺らぎである。他国(主に米国、南米諸国、東欧諸国)を対象として、エリートによる統治・選挙制度の改悪といったマクロレベルの揺らぎに関する知見が蓄積されており、また国際比較指標を用いた揺らぎの時系列比較も進んでいる。しかし日本における統治体制の揺らぎについては精査が進んでおらず、有権者と統治体制の揺らぎがどのように関連しているのかが未解明である。そこで、有権者レベルの揺らぎについての研究を進めると同時に、統治体制レベルの揺らぎについても調査を行う準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2025年度に実施される予定の国政選挙前後での大規模調査を念頭において、今年度は3つの目標を設定する。一つは3つの課題(課題1:低投票率 と参加格差の是正、課題2:業績投票の機能不全の解決、課題3:政治的分極化の緩和)について、最新文献にも目を配りながら既存研究の課題を整理し、さらに現状把握を試みる。既存のデータを使いながら、投票参加・業績投票・政治的分極化の現状を分析し、その成果を論文にまとめる。必要に応じて小規模とはなるが新規データも収集する。現状把握を済ませた上で、検証すべき仮説を洗い出しながら優先順位をつける。実施できる調査の規模や数に限りがあることから、特に重 要と思われる仮説をあらかじめ選定しておく。 もう一つはJX通信社と連携しながら、携帯RDD調査を実施するためのシステムやウェブフィールド実験を実施するためのシステムを完成させることである。今年度中には、パイロット調査を実施できるところまでシステム構築を進める。同時に、国際比較調査(Comparative Study of Electoral Systems)の実施のための準備も進める。
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