| 研究課題/領域番号 |
23H05460
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| 研究種目 |
基盤研究(S)
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| 配分区分 | 補助金 |
| 審査区分 |
大区分D
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| 研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
竹内 哲也 名城大学, 理工学部, 教授 (10583817)
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| 研究分担者 |
上山 智 名城大学, 理工学部, 教授 (10340291)
田中 崇之 名城大学, 理工学部, 准教授 (10367120)
今井 大地 名城大学, 理工学部, 准教授 (20739057)
岩谷 素顕 名城大学, 理工学部, 教授 (40367735)
亀井 利浩 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 上級主任研究員 (90356824)
秩父 重英 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80266907)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-12 – 2028-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
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| 配分額 *注記 |
205,400千円 (直接経費: 158,000千円、間接経費: 47,400千円)
2025年度: 22,360千円 (直接経費: 17,200千円、間接経費: 5,160千円)
2024年度: 74,880千円 (直接経費: 57,600千円、間接経費: 17,280千円)
2023年度: 61,100千円 (直接経費: 47,000千円、間接経費: 14,100千円)
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| キーワード | 分極ドーピング / トンネル接合 / 光デバイス / 面発光レーザー / 電力変換効率 / ワイドギャップ半導体 |
| 研究開始時の研究の概要 |
4 eV以上のワイドギャップ窒化物半導体には、コロナウイルス不活化用深紫外LEDなど、 省エネルギーかつ安心・安全な社会活動に必要な様々なデバイス実現の期待が寄せられる。しかし、誘電体・絶縁体的性質が顕著になり、もはや従来の「不純物ドーピング」による電気伝導制御が不可能である。本研究では、不純物のイオン化エネルギーに依存しない「分極ドーピング」と「トンネル接合」による新規伝導制御手法を体系化する。これら二つの新規手法を統合して、様々な次世代ワイドギャップ光デバイスを実証し、ワイドギャップ半導体における電気伝導制御の新たなスタンダードを構築する。
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| 研究実績の概要 |
分極ドーピング:これまで、4 eV以上のAlGaNでは、分極ドーピングにおいて、Mg添加なしでは正孔生成が困難であった。今回、歪AlGaNコンタクト層、エッチングダメージ抑制、成長条件最適化により、Mg添加無し分極ドープAlGaN層(平均バンドギャップ5eV以上)であっても、理論通りの正孔濃度(4e18 cm-3)が得られた。一方、弊害対策である、発光層隣接構造では、急峻な界面を形成できたが、発光効率の改善は見られなかった。 低抵抗トンネル接合の確立:GaNトンネル接合と、それを構成する高Mg添加GaN層のみ、高Si添加GaN層のみの三つの試料では、GaNトンネル接合だけに、バンドギャップ内2.6~3.3 eVでのPDS信号強度増大が観測された。トンネル接合が有する緩やかなアクセプタ・ドナー界面を形成して初めて、中間準位密度が増大することが示唆された。その密度は、標準的なGaN層の約100倍に達していた。続いて、上記、低抵抗化と中間準位との相関を鑑み、中間準位が形成されやすい条件でGaInNトンネル接合を形成した。従来はInNモル分率30%以上のGaInNを用いると最も低抵抗なトンネル接合が実現し、それ以下では抵抗が増大していたが、今回、7%という低InNモル分率であっても従来と同様の世界最小レベルの低抵抗を実現した。 次世代ワイドギャップ光デバイス実証:分極ドープp-AlGaN層などを有する深紫外LEDを作製し、従来の2倍の電力変換効率4%を実証した。最終的な統合に必要な下部トンネル接合を有する緑色LEDでは、駆動電圧が高く、上部LEDにおける注入効率の改善も見られなかった。一方、新たな展開として、分極ドーピングやトンネル接合を適用する前段階の青紫色GaN面発光レーザーにおいて、昨年度の21%からさらに向上した26%(世界最高効率)を実証した。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
1: 当初の計画以上に進展している
理由
高AlNモル分率AlGaNにおいて、分極ドーピングだけでは正孔生成が実現せず、Mg添加も必要なことを2017年に我々が指摘、他研究機関からも追試される状況であった。ところが、本研究にて、Mg添加無し分極ドーピングだけで理論通りの正孔濃度が生成される状況が見えてきた。この結果は、8年越しの成果であり、大きなインパクトを有する。つまり、研究目的の一つである、理論通り、分極負電荷濃度と等しい濃度の正孔は本当に生成するのか、という問いに対し、「生成する」と回答可能な状況に至った。 次に、低抵抗GaNトンネル接合バンドギャップ内には中間準位が多数存在することをPDS法により実証した。この事実を踏まえ、GaInNトンネル接合を作製したところ、7%低InNモル分率GaInNトンネル接合で、従来の高InNモル分率GaInNトンネル接合と同等以下の駆動電圧を実証した。研究目的の一つである、従来の常識を覆す低抵抗化の本質は何か、という問いに対し、従来、忌み嫌われていた「中間準位」が重要な役割を果たしていると回答できる。 以上、分極ドーピング、トンネル接合は共に手法確立に向けて大きく前進し、ここまで「おおむね順調に進展している」と判断できる。さらに、新たな展開として、面発光レーザーでは、分極ドーピングやトンネル接合を組み込まない従来構造であっても、その場共振器長制御や発光径制御により、電力変換効率が従来の15%から世界最高値となる26%まで向上した。研究計画調書では、分極ドーピングやトンネル接合の適用により、15%から30%へと改善させる計画であったため、この新たな成果となる26%の面発光レーザーに、分極ドーピングやトンネル接合を組み込めば、目標以上の電力変換効率、具体的には40%という世界を圧倒する性能の実現可能性が見えてきた。以上より、「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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| 今後の研究の推進方策 |
分極ドーピング:2024年度までに、Mg添加無し分極ドープAlGaN層(AlNモル分率差:0.9-0.6=0.3)の成長条件の最適化を試み、Mg添加無しであってもほぼ理論通りの正孔濃度(4e18cm-3)を再現性良く実証できた。成長条件の最適化により残留ドナーが低減したと考えられる。2025年度は、系統的に、様々なAlNモル分率差での正孔蓄積実証を進めるとともに、その残留ドナーの起源を明らかにする。 トンネル接合:2024年度までに、低抵抗GaNトンネル接合には約100倍の中間準位密度(対標準GaN)が存在することを明らかにした。さらに、成長条件の最適化により、低InNモル分率(7%)であっても従来の高InNモル分率(30%)と同等かつ世界最小レベルの微分抵抗(2.1e-4 Ωcm2)を実証、また、このGaInNトンネル接合により、素子応用上好ましくない貫通転位に依らない低抵抗化が可能なことも実証した。2025年度は、この低抵抗GaInNトンネル接合を用いて素子のタンデム化を進めるとともに、下部トンネル接合の低抵抗化も進める。 光デバイス実証:2024年度までに、Mg添加無し分極ドープAlGaN層を用いたLEDにおいて、Mg添加したものと同等の効率(4%)を実証した。2025年度は、不必要な「逆」分極電荷への弊害対策を進め、最終目標である効率10%に近づける。また、2024年度、GaN青紫色面発光レーザーにおいて、分極ドーピングやトンネル接合を用いる前段階で、その効率は世界最高効率となる26%まで到達した。2025年度は、この素子に分極ドーピングなどを適用し、世界を圧倒する性能実証を目論む。
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| 評価結果 |
中間評価
A: 順調に研究が進展しており、期待どおりの成果が見込まれる
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