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中分子天然化合物の革新的な母核改変技術開発と人工新奇天然化合物生産に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23H05474
研究種目

基盤研究(S)

配分区分補助金
審査区分 大区分F
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

新家 一男  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 副研究部門長 (20251481)

研究分担者 小関 準  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (20616669)
今井 賢一郎  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (80442573)
工藤 慧  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80828161)
末永 光  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (90357252)
研究期間 (年度) 2023-04-12 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2025年度)
配分額 *注記
204,750千円 (直接経費: 157,500千円、間接経費: 47,250千円)
2025年度: 40,040千円 (直接経費: 30,800千円、間接経費: 9,240千円)
2024年度: 40,040千円 (直接経費: 30,800千円、間接経費: 9,240千円)
2023年度: 54,600千円 (直接経費: 42,000千円、間接経費: 12,600千円)
キーワード天然物化学 / 合成生物学 / 構造生物学 / コンビナトリアル生合成 / 化合物ライブラリー / 天然化合物 / ポリケタイド / 放線菌 / バイオものづくり
研究開始時の研究の概要

低分子化合物や、抗体医薬や生物製剤などの高分子の間を埋める、中分子化合物が、新たな医薬品リソースとして注目されている。中分子天然化合物を有機合成法で合成するのは極めて困難な場合が多々あり、生合成を基盤とした構造改変技術の開発が強く望まれている。本課題を克服するため、広範囲の天然化合物に適用可能であり、効率的かつ高生産での母骨格改変を可能とする技術を開発することで、基礎および応用研究の両面における社会ニーズに貢献すると考えられる。この課題を解決する戦略として、迅速かつ効率的に構造ユニットを改変するcombinatorial biosynthesis技術を確立することを本研究の主題とする。

研究実績の概要

放線菌をはじめとする微生物は、医薬品やその原料などとして利用される多様な生物活性を示す様々な化合物を生産する。中でもモジュラー型酵素によって生合成される中分子化合物は、多数の不斉炭素を含む極めて複雑な構造を有することで知られている。この生合成メカニズムを利用した誘導体創成技術を開発することで、有機合成法ではアクセス困難なケミカルスペースの活用が可能になると期待される。本研究の目的は、モジュラー型酵素を利用した実用的なコンビナトリアル生合成技術を開発することである。I型ポリケチド合成酵素(I型PKS)のような巨大酵素を改変する技術として、我々は、生合成遺伝子クラスター全長を組込んだ細菌人工染色体に対し、CRISPR/Cas9およびGibson assembly法を併用して正確に遺伝子改変を行うin vitroモジュール編集技術を開発してきた。本技術により狙った改変を着実に行うことが容易となり、大規模な母核改変研究を行った結果、生産量の差はあるものの高確率で母核改変化合物が生産されるという結果を得た。そこで、本技術の高度化を行い、コンビナトリアル生合成技術を確立することで、より迅速かつ効率的に多種多様な誘導体の創製が可能になるとの考えに至った。従来、I型PKSモジュールの単位は遺伝子の境界に対応するように考えられてきたが、近年は中間体の受け渡しを考慮した新モジュール境界が注目されるようになってきた。本研究では、このような新モジュール境界説を取り入れつつ、モジュールをランダムに組み合わせて、化合物「ライブラリー」を構築するための技術基盤を開発する。
本年度は少数の組合せについて概念実証を行い、次年度以降の大規模検証の予備的知見を得た。また多数の組合せを実現するために必要な遺伝子パーツの機能検証を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

我々の提唱するコンビナトリアル生合成の概念実証を行うため、これまでin vitroモジュール編集により改変化合物の生産に成功した実績のあるI型PKS遺伝子を鋳型とし、少数の組合せを構築して放線菌における異種発現実験によって化合物の生産を検討した。その結果、我々のこれまでの経験と同様に生産量の差はあるものの、コンビナトリアル生合成の戦略でも化合物生産が可能であることを明らかにした。
多数の組合せを実験・検証するための準備として、組合せを媒介するドッキングドメインの機能検証を試みた。組換えタンパク質の調製に関して種々検討したが、現在までに高効率で多種のドッキングドメインを得る手法を確立するには至っていない。
新モジュール境界説に基づく(コンビナトリアル生合成ではない)I型PKSの改変に関して、改変前後で生産量の低下が小さいモジュール境界を見出すことに成功している。新モジュール境界説に則った複数のモジュール境界について、中分子天然化合物そのもののコンビナトリアル生合成に適用した際の生産性の差を検証するため、必要な遺伝子を構築した。

今後の研究の推進方策

我々の提唱するコンビナトリアル生合成戦略に基づき、多数のモジュールを用いて化合物生産を検証する。全ての組合せにおいて必ずしも化合物が生産されるとは限らないが、I型PKSによって作り出される構造多様性を網羅するように検証することで法則性を見出すとともに、新たなモジュールデザインを行い利用可能な構造を拡張していく。また、ドッキングドメインの機能をin vivoで検証することで組換えタンパク質調製の問題を迂回し、多段階のコンビナトリアル生合成に利用可能なシステムを構築する。
新モジュール境界説に則った複数のモジュール境界について、中分子天然化合物そのもののコンビナトリアル生合成に適用した際の生産性の差を検証する。

報告書

(3件)
  • 2023 研究概要(採択時) ( PDF )   審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)

  • [雑誌論文] Capability of a large bacterial artificial chromosome clone harboring multiple biosynthetic gene clusters for the production of diverse compounds2024

    • 著者名/発表者名
      Kudo Kei、Nishimura Takehiro、Izumikawa Miho、Kozone Ikuko、Hashimoto Junko、Fujie Manabu、Suenaga Hikaru、Ikeda Haruo、Satoh Nori、Shin-ya Kazuo
    • 雑誌名

      The Journal of Antibiotics

      巻: 77 号: 5 ページ: 288-298

    • DOI

      10.1038/s41429-024-00711-9

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] I型ポリケタイド合成酵素の精密改変による 次世代天然物化学2023

    • 著者名/発表者名
      工藤慧、新家一男
    • 学会等名
      第75回 日本生物工学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] BIOSYNTHESIS APPLICATION OF MODULE EDITING TECHNIQUE ON MODULAR PKS FOR THE PRODUCTION OF BIOACTIVE DERIVATIVES2023

    • 著者名/発表者名
      新家一男
    • 学会等名
      Japan-German Joint Symposium on Natural Product Biosynthesis Kyoto, 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Application of the heterologous expression technology for the derivatization of type-I PKS2023

    • 著者名/発表者名
      新家一男
    • 学会等名
      KAIST Special Symposium on Engineering Biology Distinguished Profs Seminar
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Application of the heterologous expression technology for the derivatization of type-I PKS and NRPS compound2023

    • 著者名/発表者名
      新家一男
    • 学会等名
      2023 KMB Annual Meeting & International Symposium
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 微生物二次代謝産物生合成遺伝子を応用した工業基幹物質生産2023

    • 著者名/発表者名
      新家一男
    • 学会等名
      天然物創薬研究会 Study Group on Natural Products (SNAP) Drug Discovery 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2025-06-20  

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