研究課題/領域番号 |
23H05482
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分H
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
長谷 耕二 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (20359714)
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研究分担者 |
松田 幹 福島大学, その他部局等, 理事 (20144131)
新藏 礼子 東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (50362471)
大橋 若奈 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (50381596)
細川 正人 早稲田大学, 理工学術院, 准教授(任期付) (60722981)
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研究期間 (年度) |
2023-04-12 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
203,450千円 (直接経費: 156,500千円、間接経費: 46,950千円)
2024年度: 34,450千円 (直接経費: 26,500千円、間接経費: 7,950千円)
2023年度: 39,520千円 (直接経費: 30,400千円、間接経費: 9,120千円)
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キーワード | パイエル板 / 腸内細菌 / IgA / Tfh細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
腸管粘膜は多様な抗原に常に曝露されており、粘膜防御のため大量のIgA産生細胞が集積する。さらに腸管免疫系では幅広い外来抗原に応答可能なクローンが選択されていると予想されるが、その詳細は不明である。そのようなIgAクローンを誘導するためには、Tfh細胞の働きが必須である。しかしながら、腸管におけるTfh細胞の誘導因子については十分に分かっていない。そこで、本研究ではTfh細胞の誘導に関わる環境因子を同定することで、腸管におけるIgA応答メカニズムの解明を試みる。
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研究実績の概要 |
腸管粘膜は、体全体を覆う皮膚の約200倍もの表面積を有しており、食事由来抗原や30兆個にも及ぶ腸内共生微生物と常に対峙している。このため、腸管には二次リンパ組織である小腸パイエル板を代表とする体内最大の免疫システムが構築されており、これらに対応している。腸管免疫システムにおける液性免疫は、免疫グロブリンA (IgA)応答が主体であり、腸管粘膜には毎日3-5 gもの二量体IgAが分泌されている。分泌型IgAは、外来異物が上皮に付着するのを抑制するとともに、腸内細菌叢のバランス維持にも貢献している。IgA応答の司令塔として機能するのが濾胞性ヘルパーT(T follicular helper: Tfh)細胞である。 2023年度の研究から、既報通り無菌マウスではTfh細胞が減少することを確認した。また特定の食事成分がTfh細胞の誘導に関わることが判明した。抗生物質カクテル投与によって、スペクトラムの異なる抗菌剤をSPFマウスに投与することで、この食事成分によるTfh誘導活性が消失したことから、本作用は腸内細菌依存的であることが判明した。そこで、スペクトラムの異なる複数の抗菌剤を投与してTfh細胞数を解析した結果、特定の抗菌剤によってTfh細胞の誘導がキャンセルされた。続いて、16S rRNA遺伝子シークエンス法により各群の菌叢解析を実施し、Tfh数と正の相関を示す菌種の絞り込みを行った。これら候補細菌を無菌マウスに定着させたところ、Tfh細胞の増加が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に沿って実験が行われ、着実にデータが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、腸内細菌によるTfh細胞誘導メカニズムの解析を行う。すなわち、これらの細菌が抗原として重要であるのかどうかを検証する。さらに誘導されたIgAの抗原特異性を調べるために、IgAに結合する細菌を取得し16S rRNA遺伝子シークエンシングを実施する。さらに、IgAハイブリドーマを作出し、IgAクローンを取得し、様々な抗原への結合性を調べる。
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