研究課題/領域番号 |
23K00012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
佐金 武 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (40755708)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 哲学的時間論 / 観念論 / 時間の空間化 / 関係説的現在主義 / 現在主義 / 永久主義 / 関係説 / 実在論 |
研究開始時の研究の概要 |
現代の哲学的時間論は、英国の哲学者J・M・E・マクタガートの「時間の非実在性証明」に端を発し、それ以来長らく、過去・現在・未来の時制的区別の実在性をめぐる、きわめて形而上学的な問題を中心に展開されてきた。他方、古代ギリシアにはじまるより大きな哲学史の文脈では、 時間それ自体の実在性(時間に関する実在論)に加えて、変化とその抽象的表象としての時間(関係説)や、人間の「経験の条件」としての時間(観念論)も議論されてきた。本研究の趣旨は、現代時間論の枠組みを根本的にくみかえ、古典的な哲学史の文脈においてその意義をあらためて評価することにある。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、マクタガート以降の現代時間論の枠組みを根本的にくみかえ、時間をめぐる古典的な哲学の問題関心へ再接続することで、その歴史的意義をあらためて評価することにある。課題探究上の核心的問いは、「現代時間論の論争を哲学史上どのように位置づけ評価しうるか 」というものである。 補助事業期間1年目の2023年度は主として、現在主義を関係説の復権として捉え直すことを試みた。この課題を遂行するため、時間とは「変化の数」であるとするアリストテレスの考えにもとづき、現在主義に対して提起される諸問題に対処することを通じて、「関係説的現在主義」の可能性を追求した。年度末にはアリストテレス研究の大家である中畑正志氏を招き、「哲学的時間論の歴史」と題した研究会(一般公開、2024年3月9日、大阪公立大学杉本キャンパス)を開催した。中畑氏の講演および研究代表者の発表、そして参加者を巻き込む事後の討論を通して、プロジェクトの遂行において重要な洞察を得ることができた。 この他、時間に関する現象学や経験主義、観念論について継続的に検討を行うため、現代の「時間意識の哲学」にも目を向け、現段階での研究成果を日本科学哲学会第56回大会(2023年12月3日、筑波大学春日エリア)にて発表した。口頭発表後の質疑応答や他の研究者との個人的な意見交換を通して、今後の探究の方向性がより明確になった。本研究テーマは比較的新しく、国内においてはほとんど先行研究は見られないものの、その影響は心理学や生物学にも波及しうるものであり、さらなる研究成果の発信に努めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関係説の復権としての現在主義というテーマのもと、現代および古典の文献調査と考察を中心に課題遂行に努めた。現時点での成果は、外部より講演者を招いて開催された年度末の研究会において発表・発信された。目下、関連する論文の投稿を準備中であり、今後も継続的に問題の検討を行う。さらに今後の課題である「時間意識の哲学」の研究にも着手し、全国レベルの学会にて口頭発表を行った。以上により、補助事業期間の1年目の目標はほぼ達成されたものと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の成果にもとづき研究期間2年目は、関係説的現在主義との対比において、「時間の空間化」の本質を明らかにすることに努める。その際、可能な限り科学哲学の観点もとりいれ、絶対空間と絶対時間をめぐる「ライプニッツ-クラーク論争」などの古典的論争を手がかりに、「時間の空間化」を支持するもっとも大きな動機と考えられている科学的実在論の立場について吟味する。これと合わせて、関係説的現在主義に関する1年目の研究も継続し、3年目以降の課題である時間意識の哲学についても本格的な研究に向けて準備を進める。
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