研究課題/領域番号 |
23K00015
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
松浦 和也 東洋大学, 文学部, 教授 (30633466)
|
研究分担者 |
文 景楠 東北学院大学, 教養教育センター, 准教授 (00782517)
宮崎 文典 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (50506144)
三浦 太一 中部大学, 人文学部, 講師 (60847531)
北郷 彩 北海道大学, 文学研究院, 専門研究員 (20797071)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | ギリシア哲学 / プラトン / アリストテレス / 分析哲学 / 方法 / 哲学 / 解釈 / ギリシア |
研究開始時の研究の概要 |
古代哲学に対して論理学と言語学を用いてテキストを再構成する分析的読解は今日でも隆盛であるが、本研究はこのような古代哲学の分析的読解による解釈としての傾向や、この読解が暗黙の裡に措定してしまうことを明るみに出し、これらを吟味することで、この読解方法と伝統的な文献学的成果を再統合した、堅実かつより生産的な古代研究の方法を提案する。
|
研究実績の概要 |
初年度は各月ベースのオンライン研究会を実施し、分析的アプローチの規定を巡る欧米の先行研究を合同で読み解くと同時に、各自の論文における実践を共有した。こういった共同作業をもとに、次のような各自の研究実績を産み出した。松浦は分析的読解の初期の事例をハイデガーのアリストテレス解釈と対比することによって、分析的読解の傾向として、テキストにある複雑な議論を過度に簡素化することと、ギリシア哲学が残した様々な考察の中から現代的にも価値があると見なしうるものが分析対象に選ばれることがあることを提示した。研究分担者の文は、古代哲学研究を対象に「哲学史研究における分析的アプローチ」の内実を把握することの困難さを確認し、シールズ『古代哲学入門』における分析的アプローチの定義を援用しながら、それを(アリストテレスに由来するものとして)再構築することを試みた。この試みは、関連学会で提題し、論文化した。三浦は口頭発表「プラトン『パイドン』における魂の健康と病――「親近性の議論」の分析から」において、分析的手法からは省みられることが比較的少なかったプラトン『パイドン』親近性の議論を、健康と病という視点から再評価した。宮崎はプラトン『ヒッピアス(大)』を、従来の分析的読解ではあまり省みられることがなかった言論への態度という観点から検討し、ソフィスト的言論とソクラテス的言論(対話)との対比的読解を行い、その成果の一部を論文化した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクト全体に関わるものとして、松浦と文が研究計画と直接関わる論考を公開することができた。また、三浦と宮崎が、各自の研究主題を対象に分析的アプローチを実践する論考を公開した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画のさらなる充実を図るために、次年度からコールドウェル氏を研究分担者として加え、アリストテレスが行った「分析」と、古代哲学研究の中でテキストに対して成される分析の相互比較を行う。また、分析的アプローチを実践し、その理解を深めるために、具体的なテキストを選んでそれを(特に自分自身の方法論を意識しながら)読解する研究会を科研メンバー内外を対象に開催する計画を立案する。また、分析的読解による古代哲学の著書を選び、それを他の時代地域の哲学研究に従事する専門家からはどのように見えるのかを評する会を次年度中に開催する。以上の活動を通じて、それぞれの研究者がどのような態度で古代哲学に向き合ってきたのか、その研究方法を言語化することを目指す。
|