研究課題/領域番号 |
23K00016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松元 雅和 日本大学, 法学部, 教授 (00528929)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 戦争倫理学 / 標的殺害 / 汚れた手 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、標的殺害の道徳的是非を、〈汚れた手〉問題の再検討を通じて問うことである。具体的には、標的殺害を要人の暗殺として理解し、その許容性を〈汚れた手〉の観点から分析・評価する。すなわち、第一に、標的殺害の特質を、要人の暗殺という側面から分析することで、通常の戦闘行為とは異なる倫理的特徴を解明し、第二に、非対称戦争における交戦者の道徳的地位を区別したうえで、非対称戦争において能力的に優位にある側が標的殺害を行うことは〈汚れた手〉の一環として許容されうるかを論証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、標的殺害の道徳的是非を、〈汚れた手〉問題の再検討を通じて問うことである。令和5年度は、標的殺害を、要人の暗殺という側面から分析し、通常の戦闘行為とは異なる戦争倫理学上の特質を明らかにした。具体的には、国際機関が報告する調査資料に基づき、今日の国際紛争における標的殺害の実態を把握した。また、生存戦争に関する申請者の予備的研究成果も敷衍しながら、〈必要性〉条件を精査し、その意味と動態を分析した。その成果の一端として、1)「平和研究としての政治哲学――『理想』を再定義する」『平和研究』60号(2023年)、1-24頁では、政治哲学を規範研究として捉えたうえで,それが平和という主題にどのようにアプローチしうるかを、理想理論/非理想理論の区別や、ユートピア主義/現実主義の区別をもとに分析した。2)"The Right and Justice of Subsistence Wars as Necessity: A Grotian Account," International Politics (forthcoming)では、グロティウスの緊急権の議論を現代の生存戦争に応用することを通じて、必要としての生存戦争は、他人の権利を尊重するという観点から、対象者の帰責性を前提とする自衛戦争とは異なり、とりわけ最終手段、比例性、賠償の点で従来の帰責性基底的説明よりも限定的な条件に服していることを明らかにした。3)「自由の制限はいつどのように許容されうるか――チルドレス諸原則の分析」岩崎正洋編『コロナ化した世界──COVID-19は政治を変えたのか』(勁草書房、2024年)、19-37頁では、感染症対策としての自由の制限に着目したうえで、「制限を制限」するための条件として、チルドレスが公衆衛生倫理として提示する〈諸原則〉を分析し、戦争倫理学の知見も参照しながらその内実を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では標的殺害の道徳的是非を、〈汚れた手〉問題の再検討を通じて問うことを段階的に実施する。令和5年度は、生存戦争に関する申請者の予備的研究成果も敷衍しながら、〈必要性〉条件を精査し、その意味と動態を分析した。その結果、第一に、グローバル貧困者が置かれている窮状に鑑みて、かれらが富裕国に対して自衛権と並んで緊急権から生存のための武力行使に訴えることがありうることを明らかにした。第二に、非情な現実の只中で平和を模索するための水準の違いを明確化した。これらの研究成果を通じて、〈汚れた手〉問題という理論枠組みからその道徳的是非を問うという着想に基づき、従来の戦争倫理学研究の刷新を目指すという本研究の当初課題の達成に向けて、次年度以降の研究課題の基盤となる有益な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度以降の課題は、非対称戦争における交戦者の道徳的地位を区別したうえで、強者が標的殺害を行うことは〈汚れた手〉の一環として課題に許容されうるかを論証するに着手することである。具体的には、〈汚れた手〉としての要人の暗殺の許容性に関する分析を踏まえ、非対称戦争において能力的に優位にある強者が標的殺害を実行することの道徳的許容性を評価する。
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