研究課題/領域番号 |
23K00019
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
蝶名林 亮 創価大学, 文学部, 准教授 (10802184)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | メタ倫理学 / 道徳的説明 / 局所主義 / 道徳判断 / 自然主義 / 道徳的実在論 / コーネル実在論 / 道徳心理学 |
研究開始時の研究の概要 |
倫理学においても日常的な会話においても「あの子はご両親が立派だから良い子に育った」などという言説が見られる。この言説について立ち入って考えてみると、この言説は両親が持つ徳(立派さ)が子どもに対して因果的な効力を持つということの主張であると理解できる。本研究ではこのような説明項に道徳的な概念を用いる道徳的説明が、関係する諸科学の知見から見て真に適切なものと言えるのか、そうだとするとそのことは道徳哲学における中心的な課題である道徳的判断の客観性についてどのような含意を持つか、検討していく。
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研究実績の概要 |
本研究は道徳的説明に訴える自然主義的な道徳的実在論のための論証を「局所主義的なアプローチ」を用いて強化し、その擁護を目指すというものである。局所主義的なアプローチとは、道徳的説明全般について論じるのではなく、個別の道徳的説明について、その是非を関係する経験的知見を考慮して検討していき、どのタイプの道徳的説明を実在論的に解釈できる見込みがあるのか、慎重に検討を重ね、その積み重ねによってどのタイプの道徳的性質についてわれわれは実在論的な態度をとることができるのか明らかにしていくというものである。このような手法は現代のメタ倫理学の研究動向においては他に見られず、国際的な見地からみても新規性を持つものであると考えられる。
今年度は昨年度から取り組んでいた道徳判断に関する道徳的説明を巡る英語論文の完成に注力した。この論文では、道徳判断に関する道徳的説明と言っても様々な異なる形態があることを確認し、その中で実在論的な説明が最良の説明と見なされるものにはどのようなものがあるか、関連する道徳判断に関する経験的知見も参照しながら、示した。今年度はこの論文が国際誌の査読を通り、出版された。このことにより、次年度以降の研究の足掛かりをつくることができた。
また、本研究が試みる局所主義的なアプローチを勇敢さ、慈悲、知恵などの道徳上の徳に関する説明に応用した場合どのような議論が可能か、検討した。さらに、道徳的個別主義と非因果的説明の関係に関しても検討した。これらの研究成果は国際的な研究イベントで発表した(オンライン)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は当初の計画通りに研究成果を論文の形にまとめ、それを欧文ジャーナルに投稿するということができた。また、その中で論文が一本査読を通過し国際誌上で出版された。このことから、本研究は概ね順調に進展していると考えてよいと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究が試みる「局所主義的なアプローチ」に従い、以下の二つの研究課題に取り組んでいく。①勇敢さ、慈悲、知恵といった道徳上の徳に訴える道徳的説明の是非を局所主義的なアプローチを用いて検討する。②局所主義的なアプローチを用いて自然主義的な道徳的実在論に向けられているいわゆる「規範性からの反論」に応答することを試みる。
既にこれら二つの課題について、前年度に研究成果を国際ワークショップで報告するなど、研究に着手している。これらの研究の精度を高め、研究成果を国際誌上に発表することを目指していく。
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