研究課題/領域番号 |
23K00020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
菊地 建至 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (50761251)
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研究分担者 |
孫 大輔 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40637039)
村上 慎司 金沢大学, 地域創造学系, 講師 (80584359)
蘭 直美 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (80761759)
福田 守良 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (90711094)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 医療・福祉に関わる人たちの教育の開発 / 健康と社会・地域 / 患者の経験と知 / 対話(対話カフェ) / クリティカルシンキングと社会哲学・科学 / 家庭医療と在宅・訪問看護 / 地域医療福祉と地域アセスメント / ピアサポート / 哲学・社会科学の教育の開発 / 医療従事者になる人の教育 / 地域住民の医療・保健・福祉のニーズ / 哲学教育 / 医学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、「これからの地域住民の医療・保健・福祉に携わる医療従事者を育てる教育への哲学及び社会科学の貢献の具体的な形を明らかにすること、すなわち、どのような学修内容がどのようなプロセスで教育されることが必要かという教育の内容・機会を明らかにすること」である。 この目的達成のための本研究計画は、「調査・分析(患者・地域住民及び医療・保健・福祉関係従事者のニーズの調査・分析、医学教育・看護学教育カリキュラム及び教育実践の調査・分析)」と「考察・創造」で構成され、哲学、社会科学、医学、在宅看護学、それぞれの研究・教育及び社会実践に長年注力してきた研究者が協力して遂行される。
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研究実績の概要 |
本研究の初年度(令和5年度)は主に、1. 本研究メンバーがそれぞれの教育現場で、着実に、本研究の趣旨に即した教育内容・方法の開発を進め、研究会等で検討を重ねた。医学部・看護学部の一般教育教員である菊地建至は、「クリティカルシンキングの教育」「マイノリティに関する教育」等の研究を進めた。令和7年度、医療・福祉にかかわる人のクリティカルシンキング教育の教科書刊行を目指している。医師・医学教員の孫大輔は、「医学教育への哲学・人文学の導入(対話の哲学の授業、看取りをテーマにした映画を用いたプロフェッショナリズム授業等)」「地域志向のプライマリケア教育」等の研究を進めた。社会保障・地域創造学系教員の村上は、「社会保障論・社会福祉の教育」「リスク(Risk)等の概念史」等の研究を進めた。在宅看護学教員の蘭直美と福田守良は、「在宅看護の教育」「多職種連携の教育」「地域アセスメントの教育」等の研究を進めた。 また、菊地、孫、村上、蘭は、それぞれ関わりの深い地域で、大学の外に出て、広い意味で医療・福祉に関する場の運営、「対話」にも取り組んでいる。これは、本研究を深める対話・協働に重要な貢献となるとともに、令和6年度以降の「患者・地域住民のニーズの調査・分析」「医療、福祉等の従事者のニーズの調査・分析」の土台にもなるものである。
本研究の目的は、「これからの地域住民の医療・保健・福祉に携わる医療従事者を育てる教育への〈哲学及び社会科学〉の貢献の具体的な形を明らかにすること、すなわち、どのような学修内容がどのようなプロセスで教育されることが必要かという教育の内容・機会を明らかにすること」である。そして、この目的を果たすために必要なプロセスとして、本研究の初年度(令和5年度)の研究が計画され、概ね順調に進められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度から、1, 本研究メンバー(研究代表者及び4名の研究分担者)がそれぞれの教育現場で、着実に、本研究の趣旨に即した教育内容・方法の開発を進めている。また、先行研究等の収集・分析にも努めている。その一部を、メンバーどうしで共有し、対話し、改良に努めた。菊地は、特に「クリティカルシンキングの教育」及び「マイノリティに関する教育」について報告した。孫は、「人文科学・アートの地域医療教育への導入」「地域志向のプライマリケアの教育」等について報告した。医学教育に哲学・人文学を導入する試みとして、対話の哲学の授業や、看取りをテーマにした映画を用いたプロフェッショナリズム授業を実践していること等、画期的である。村上は、「社会保障論・社会福祉の教育」「アマルティア・センの思想」等について報告するとともに、「リスク(Risk)」等の概念史に取り組んだ。蘭は、「家族看護の教育」「在宅看護の教育」「多職種連携の教育」等について報告した。福田は「在宅看護学実習」「地域アセスメントの教育」等について報告するとともに、教育へのゲーム・アプリ導入等に取り組んだ。 2. 菊地、孫、村上、蘭は、それぞれ関わりの深い地域で、大学の外に出て、広い意味で医療・福祉に関する場の運営にも取り組んでいる。そのことは、本研究を深める対話等に重要な貢献となっている。 3. 医学教育カリキュラム及び教育実践の調査・分析、看護教育カリキュラム及び教育実践の調査・分析は、2023年度中にあまり進められていない。 4. 本研究グループの研究者の大半が石川県在住及び医科大学勤務のため、COVID-19、2024年1月に起きた能登半島地震等の影響により、2023年度中は、対面での研究会等の実施でなくオンラインでの実施となり、また、2024年2月・3月に予定していた研究会・講演会を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024・2025年度に、1. 患者との対話や患者ニーズの調査を通して、また、在宅医療、総合診療、健康格差問題、地域の患者ピアサポート等に携わっている医療・福祉従事者との対話を通して、「医療・福祉に関わる人向けの、哲学・社会科学の教育内容」を開発・厳選する。また、研究者・教育者・芸術家等との議論を深め、「医療・福祉に関わる人向けの、哲学・社会科学の教育内容」を開発・厳選する。 2. 医学教育カリキュラム及び教育実践の調査・分析、看護学教育カリキュラム及び教育実践の調査・分析を進める。また、「19世紀・20世紀・21世紀での社会科学・哲学の展開」「キーワードの概念史」を、社会科学・哲学を専門としない人たちとの共通知識とするための資料作成を進める。 3. 1及び2で絞った教育内容のフィードバックを得る機会を多方面で作り、本研究の設計・展開を再検討する。 4. 本研究メンバーの関わりの深い地域をよく知り、それぞれの地域で「哲学・社会科学」や「対話」を生かす実践を行い、「地域住民のエンパワーやケア」と「知や教育」の関係を探究する。 そして2025年度に、医療・福祉に関わる人向けの「クリティカルシンキング」教科書を刊行する。また、本研究メンバーによる共著のプロトタイプを作成する。 これらの研究を経て、「これからの地域住民の医療・保健・福祉に携わる医療従事者を育てる教育への哲学及び社会科学の貢献の具体的な形を明らかにすること、すなわち、どのような学修内容がどのようなプロセスで教育されることが必要かという教育の内容・機会を明らかにすること」を進め、最終年度(2026年度)に備える。
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