研究課題
基盤研究(C)
十三世紀、大学制度の確立とアリストテレスの著作及び注解書の普及によって、西洋倫理思想は大きく変化した。本研究は、その変容を解明することを目的としている。具体的には、十三世紀後半に、アリストテレスの『ニコマコス倫理学』第一~五巻及び十巻でなされているような倫理学・幸福・徳についての議論がどのように受容されたかを、当時書かれた同書の注解書をもとに考察する。とりわけ、ほとんど研究されてこなかった十三世紀後半のオックスフォードの思想家ディンスデールのヨハネスの『ニコマコス倫理学』注解書に焦点をあてて、注解書全体(第一~五巻及び十巻)の校訂版を完成させて、当時の哲学的倫理学の様態を明らかにする。