研究課題/領域番号 |
23K00030
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
周藤 多紀 京都大学, 文学研究科, 教授 (50571733)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | オックスフォード大学 / 学芸学部 / 十三世紀 / アリストテレス / 倫理学 / 註解 |
研究開始時の研究の概要 |
十三世紀、大学制度の確立とアリストテレスの著作及び注解書の普及によって、西洋倫理思想は大きく変化した。本研究は、その変容を解明することを目的としている。具体的には、十三世紀後半に、アリストテレスの『ニコマコス倫理学』第一~五巻及び十巻でなされているような倫理学・幸福・徳についての議論がどのように受容されたかを、当時書かれた同書の注解書をもとに考察する。とりわけ、ほとんど研究されてこなかった十三世紀後半のオックスフォードの思想家ディンスデールのヨハネスの『ニコマコス倫理学』注解書に焦点をあてて、注解書全体(第一~五巻及び十巻)の校訂版を完成させて、当時の哲学的倫理学の様態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
13世紀後半にオックスフォード大学で学芸学部教師をつとめたディンスデールのヨハネスの『ニコマコス倫理学』の註解書である『倫理学問題集』第四巻の現存する三つの写本(ダラム司教座聖堂図書館、ケンブリッジ大学図書館、オックスフォード大学図書館所蔵)の書写を基に、校訂版の本文テキストを作成した。また、写本によって異なる読みを記録した校訂注(apparatus criticus)と、引用・参照されている資料に関する注(locus fontium)を作成した。作成した第四巻のテキスト及び注についてチェックを依頼し、指摘を踏まえた修正を終えた。同書の全体(現存する第一巻から第五巻、及び第十巻)の出版に向けて、イギリス学士院のAuctores Britannici Medii AeviシリーズにBook Proposal を提出し、承認された。2022年8月にパリで行われた国際中世哲学会大会において発表した同書に関する研究論文が、査読を経て論文集に掲載されることが決まり、査読コメントを受けた書き直し作業を行った。13世紀後半の学芸学部教師による『倫理学注解』に関する研究成果を公表すべく、2024年9月にプラハで行われる国際中世哲学会主催の学会における発表に応募し、100人以上いた応募者の中から発表者として選ばれた。 また、倫理学の領域でも重要な概念である「モドゥス」について、ディンスデールのヨハネスが主要な思想的源泉としているトマス・アクィナスの「モドゥス」概念を調査・考察し、その意味論的側面をまとめて論文として出版した。 ジョン・マレンボンの中世哲学史の入門書『哲学がわかる 中世哲学』の最終校正作業を終えて、書籍として出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
諸般の事情で、計画していた海外での写本の閲覧を行わなかった。しかし計画どおり主要な目的であるディンスデールのヨハネスの『倫理学注解問題集』第四巻の校訂をすすめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
十年前に暫定版の校訂作業を行ったディンスデールのヨハネスの『倫理学注解問題集』第一巻を完成版として出版するための作業をすすめていく。また、2024年9月にプラハで行われる国際中世哲学会主催の学会で、13世紀後半の学芸学部教師による『倫理学注解』における哲学者像に焦点をあてた発表を行うために準備をすすめる。延期した写本の閲覧については2025年にまとめて行う。
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