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徳概念による規範理由の分析とそれに基づいたWhy be moral?問題に対する解答の検討

研究課題

研究課題/領域番号 23K00036
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分01010:哲学および倫理学関連
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

杉本 俊介  慶應義塾大学, 商学部(日吉), 准教授 (80755819)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワードWhy be moral? / 徳 / 規範理由 / アリストテレス主義 / 二人称的観点
研究開始時の研究の概要

Why be moral?(なぜ道徳的であるべきか)問題は道徳哲学の伝統的かつ根本的な問題であり、数々の解答が提示されてきた。申請者も「道徳的であることが実践理性の要求だからだ」という独自の解答を提示した。しかし、何をもって正解・不正解だと言えるかの基準が明確でなく、提示された解答が公平に評価されてこなかった。そこで本研究ではこの問題が道徳的であることの規範理由を問うものであることに注目する。この規範理由を徳概念によって分析することでWhy be moral?問題について正解・不正解の基準を提案する。その基準を使ってこれまでの解答を検討し、申請者自身の解答を擁護することを目指す。

研究実績の概要

今年度は計画通り規範理由を分析した。第一に、規範理由に関する従来の見解を検討した。従来の見解として、ヒューム主義(欲求基底説)、カント主義(自律基底説)、アリストテレス主義(徳基底説)、原始主義(Primitivism)、説明主義(Explanationism)、証拠主義(Evidentialism)が挙げられる。規範理由の分析として、それが理由の規範制約を満たすのはもちろんのこと、動機づけ制約や説明制約を満たす分析であればより望ましいことを示し、各見解が三つの制約のいずれかを満たさない点で不十分であることを示した。第二に、徳概念によって規範理由を分析する見解を擁護した。具体的には、アリストテレス主義(徳基底説)を修正し、修正案の利点と考えられる問題点に対する応答を示した。以上の成果は、日本哲学会第3回秋季大会で「徳に基づく規範理由の分析」というタイトルで発表した。
また、Why be moral?問題に関連して、道徳の強い規範性、すなわち「もし我々がφするように道徳的に要請されるならば必ず、その事実自体が我々にとってφする規範理由の一つとなる」という命題が成り立つことを示すため、スティーヴン・ダーウォルの「二人称的観点の倫理学」を修正する試みを提示した。以上の成果は、国際学会Taiwan Philosophical Associationで「Do Moral Requirements Provide Reasons? A Novel Answer from Modified Second-Person Standpoint」というタイトルで招待講演をした。また、招待して頂いたPeter Shiu-Hwa Tsu教授と意見交換を進め、国際誌AJOB Neuroscienceに「On Being Conscious as a Basic Liberty」という論文を掲載した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画どおり、規範理由に関する従来の見解を検討したうえで、その不十分さを示すことができた。また徳概念によって規範理由を分析する見解を擁護する試みを展開することができ、その成果を日本哲学会で発表し、国内の研究者と意見交換を行なうことができた。コメントも概ね好意的なものだった。
また、次年度に計画している規範理由の分析に基づきWhy be moral?問題に関する正解・ 不正解の基準を提案するところまではできていないが、道徳の強い規範性を示す試みを展開することで、道徳の要請と規範理由の関係についても自身の見解を示すことができた。
またそれに関連して、国際誌AJOB Neuroscienceに論文を掲載することができた。

今後の研究の推進方策

当初の計画どおり、前年度で擁護した徳概念による規範理由の分析に基づきWhy be moral?問題に関する正解・不正解の基準を提案し、その妥当性を確認することを目標とする。そのため、第一に、Why be moral?問題に関する正解・不正解の基準を提案する。徳概念による規範理由の分析に基づき規範理由としての要件を定め、これまで提示されたWhy be moral?問題への解答がその要件を満たすかを正解・不正解の基準として提案する。第二に、提案した基準の妥当性を確認する。提案した基準が妥当であることを示すため、Why be moral?問題の論者やWhy be moral?と問う人物(アモラリスト)であっても採用できる基準であることを確認する。
また、前年度の成果(徳概念による規範理由の分析)について論文として投稿する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] National Chung Cheng University(その他の国・地域)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] On Being Conscious as a Basic Liberty2024

    • 著者名/発表者名
      Tsu Peter Shiu-Hwa、Sugimoto Shunsuke
    • 雑誌名

      AJOB Neuroscience

      巻: 15 号: 1 ページ: 24-26

    • DOI

      10.1080/21507740.2023.2292489

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 徳に基づく規範理由の分析2023

    • 著者名/発表者名
      杉本俊介
    • 学会等名
      日本哲学会第3回秋季大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Do Moral Requirements Provide Reasons? A Novel Answer from Modified Second-Person Standpoint2023

    • 著者名/発表者名
      Shunsuke Sugimoto
    • 学会等名
      Taiwan Philosophical Association
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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