研究課題/領域番号 |
23K00045
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
志田 泰盛 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60587591)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 虚空の知覚可能性 / 空間定位 / 視覚外送説 / 闇の本質と認識根拠 / ミーマーンサー / 音源定位 / 鏡像認識 / 自律真理説 |
研究開始時の研究の概要 |
一次資料の批判校訂を中核的方法論として、古典インドの知覚論・認識論の解明のため、以下の二つの主要テーマを設定する。 一点目は、〈鏡像の原理〉や〈聴覚による音源定位〉などの知覚現象について、当時の理論的道具立ての制約下における各思想家の問題意識と分析態度を解明することである。 二点目は、アキャーティ理論と呼ばれるプラバーカラ派の自律的真理論の究明である。この理論は、「全ての現経験は例外なく正しい」という極論であるが、志向性という切り口からのアプローチも試みる。 いずれのテーマについても、可能な限り文献実証的な方法論に立脚するため、関連写本の全数調査を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題は平成30年度に開始したもう一つの研究課題(基盤C一般18K00055「刹那滅・同一性・再認をめぐる中世インドの哲学対話の解明」)に接続するテーマであるが、感染症問題の影響で上記の先行課題の期間延長を重ねており、本研究課題については内容的にオーバーラップする部分の研究を進めた形となった。 令和5年度は、インド思想史学会第30回学術大会において「虚空の視覚的表象と知覚可能性」と題した発表を行い、その内容は『筑波大学哲学・思想論集』に投稿し刊行された。 上記の発表・論文の内容は、仏教を含め広くインド古典の文芸的・哲学的作品を広く視野に含めて、虚空の知覚可能性という問題を主題に設定したものであるが、その中核は本研究課題である古典インド聖典解釈学派における音声の本性をめぐる哲学対話の分析となっている。 『詩節評釈』「音声論題」第88詩節後半--第121詩節前半において著者クマーリラは、話者から聴者までの空間を音声がどのように伝播するかという問題を批判的に検討する。音声の媒体とされる虚空が、音声を遮蔽する壁の中にも存在するかどうかに焦点が当てられる第97詩節後半--第98詩節前半にたいして、註釈者スチャリタミシラは膨大な紙幅を割き、虚空の実在性やその認識根拠をめぐる議論を展開する。そして、この注釈箇所の過半量を占めるのは、闇の本質をめぐる議論となっている。 虚空の知覚可能性をめぐる議論に、なぜ闇の本質をめぐる膨大な議論が挿入される必要があったのか、登場する各学説とそのソースを跡づけながら思想史的アプローチも試みているが、スチャリタミシラの『カーシカー註』に限らず主検討対象となる資料については利用可能な一次資料の全数調査に基づくものであり、相当数の手書き写本の解読に基礎付けた文献実証的方法論に基づいている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
写本の蒐集・解読・校合・校訂といった基礎作業は、難読箇所などのボトルトルネックが頻発するが、難読文字の解析にたいする蓄積があり、また翻刻支援ソフトSMART-GSを引き続き活用することで、細切れの時間の中でも Prakaranapancika のテルグ文字写本の翻刻などを着実に進めた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の主題である思想家クマーリラに関する国際会議がE. Freschi博士の主催により2024年5月に開催される。申請者もお声がけいただき、参加することになったため、その準備や旅費などに本研究費の繰越金を充当する予定である。 上記国際会議の準備と参加関連の支出については、感染症問題の影響で期間延長を重ねているもう一つの研究課題(基盤C一般18K00055)とも強く関連し、オーバーラップする部分も多いため、二つの課題を並行する。
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