研究課題/領域番号 |
23K00046
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大島 智靖 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (60626878)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ヴェーダ / ソーマ祭 / 祭主 / 贖罪 / 儀礼 / 古代インドの儀礼 / ヴェーダ祭式 / 祭式 / インド / 倫理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ソーマ祭における祭主の規定についてスートラ文献を中心に精査し、さらにその伝統を受け継ぐ近現代の婆羅門コミュニティにおける民族誌的調査をも加えて、ヴェーダ祭式社会の背景に見える倫理観を読み解くことを目的とする。着目するのはソーマ祭祭主であり、近年新資料として注目される『ヴァードゥーラ・シュラウタスートラ』第14章「アグニシュトーマ祭主の章」の解読・分析を試みる。さらに、近代に成立した『アーパスタンバ・シュラウタ・プラヨーガ』の分析およびそれに基づく現代のソーマ祭の現地学術調査を行う。古代文献と現代の間に横たわる断絶を埋める一材料を提供し、ヴェーダ祭式文化史理解に寄与することを目指す。
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研究実績の概要 |
当該年度は計画通りブラーフマナ文献およびシュラウタ・スートラ文献におけるアグニシュトーマのマントラの伝承・規定・所作について整備を進めた。特にアグニシュトーマ冒頭のディークシャニーヤー・イシュティ(潔斎導入のための穀物儀礼)について、サーマヴェーダ系統のシュラウタ・スートラ文献に明示される「タールクシュヤ・サーマン」に関して、それがヤジュルヴェーダおよびリグヴェーダ系統の諸文献に言及されない点に注目し、サーマヴェーダ系統のブラーフマナ時代に導入に成功した追加要素であることを明らかにした。その導入の祭式的背景について精査し、9月にパリにおける第8回国際ヴェーダ学ワークショップで発表した。 また、ヴァードゥーラ学派のヴァードゥーラ・シュラウタスートラ第14章「アグニシュトーマ祭主の章」の解読・分析はテキストの整備と概観に留まった。本章の内容は全く未知の領域であり、その意義を確定するためにも早急に読解翻訳を進める必要がある。次年度はその作業を中心に進めて、祭主のプラーヤシュチッティ(贖罪規定)を抽出し、シュラウタ・スートラ文献時代以降に表れる、ソーマ祭祭主にまつわる社会倫理の実態を明らかにする。ソーマ祭の実地調査は研究年度の後半に予定しているので、当該年度に続いて次年度は2020年に録画したアグニシュトーマの映像素材の編集に努める。当該年度では上述のワークショップにおいてディークシャニーヤー・イシュティの映像を公開した。次年度はソーマの購入を中心とした諸行為を編集し、貴重な映像資料を提供したいと計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題のもう一つの柱であるヴァードゥーラ学派のヴァードゥーラ・シュラウタスートラ第14章「アグニシュトーマ祭主の章」の解読・分析に十分取り組むことができなかった。そもそも伝承の不完全さに並行テキストが皆無であることが重なり、テキスト全体の把握が予想以上に難しく、エディションの確定に時間がかかっている。従って、それに伴い計画していたアグニシュトーマの行程あるいは儀礼行為の各項目に従ってチャート化し、レファレンスとして利用できるものを作成する作業も次年度に回した。
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今後の研究の推進方策 |
ヴァードゥーラ学派のヴァードゥーラ・シュラウタスートラ第14章「アグニシュトーマ祭主の章」の解読・分析を進めることが第一である。手がかりの少ない文献であるため読解は時間を要する。次年度はその作業を主とする。祭主のプラーヤシュチッティ(贖罪規定)を抽出する上では並行するシュラウタ・スートラ文献およびブラーフマナ文献との対照を行う必要がある。また、研究年度後半の実地調査に備えて『アーパスタンバ・シュラウタ・プラヨーガ』の読解も進める。これによって、シュラウタ・スートラ文献時代からポスト・ヴェーダ期における、ソーマ祭祭主を通じた社会倫理の断片を採取することが可能である。
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