研究課題/領域番号 |
23K00055
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
平林 二郎 大正大学, 綜合仏教研究所, 研究員 (30724421)
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研究分担者 |
吹田 隆道 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (70765403)
名和 隆乾 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 講師 (20782741)
唐井 隆徳 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (80835702)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | インド仏教 / 法門 / パリヤーヤ / 経典読誦 / 読誦経典 / 仏教経典 / 読誦 |
研究開始時の研究の概要 |
仏陀(ゴータマ・ブッダ)の説いた教えには,仏教最古の資料であるアショーカ王碑文から大乗経典に至るまでダルマ・パリヤーヤと呼ばれているものがある.ダルマ・パリヤーヤは法門と訳され,その読誦性が仏教経典の創作に影響を与えたと考えられているが,その詳細については研究が進んでいない. 本研究ではダルマ・パリヤーヤと呼ばれる経の整理・分類をおこない,ダルマ・パリヤーヤの概念とその変遷について考察をおこなう.それによって,初期仏教経典にはじまり大乗経典が創作されるまでの過程の一端の解明を試みる.
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研究実績の概要 |
初年度はダンマパリヤーヤと経典読誦・読誦経典がどのように関係しているかという問題に焦点を当て,初期仏教経典で使用されているダンマパリヤーヤの用例を整理・考察する研究を進めた. 平林(研究代表者)は初期仏典で使用されるダンマパリヤーヤとパリヤーヤの用例について研究を進めた.その研究の一部として,「マッジマ・ニカーヤ」(中部)の多受経・蜜玉経・大有明経・アヌルッダ経や,「サンユッタ・ニカーヤ」(相応部)のゴーダッタ経などで使用されるパリヤーヤの用例から,世尊の法の説き方はパリヤーヤによってさまざまな内容を説くものであったという研究成果を印度学仏教学会で発表した. 本年度の最後には経典読誦・読誦経典国際ワークショップ The Workshop on Sutra Recitation and Reciting Sutrasを開催した. このワークショップの初日では,吹田(研究分担者)が読誦経典の研究史を概説し,読誦経典とダンマパリヤーヤの関係についての問題を述べた.この他に,ゲッティンゲン科学アカデミーのChung Jin-il博士と,チュラロンコン大学のTudkeao Chanwit博士がそれぞれ経典読誦・読誦経典とパリヤーヤについて最新の研究成果を発表した.上記の質疑応答の際にワークショプに参加された多くの先生方から,経典読誦・読誦経典に関する新たな研究成果の情報や,研究資料の情報をいただいた. ワークショップの二日目には,『ニダーナサンユクタ』を中心に読誦経典の解読を進め,その内容を検討した. このワークショップで得た知見をもとに,『ニダーナサンユクタ』などについての研究成果を近年中に出版する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期仏教聖典の経蔵に含まれる「長部」・「中部」・「相応部」・「増支部」・「小部」の五部の中でダンマパリヤーヤとパリヤーヤという術語が使用されている用例についてはほぼ整理が完了した. 上記の研究につづけて,『法華経』など初期大乗経典のなかでダルマパルヤーヤという語が使用されている用例を整理しはじめることができた. 初年度は44回にわたってオンラインで研究会を開催し,「大経」に含まれる読誦経典などを読み進めた.この研究会では平林(研究代表者)と吹田・名和・唐井(研究分担者)の他にChung Jin-il博士(ゲッティンゲン科学アカデミー)や石田智宏教授(興隆学林専門学校)に研究協力者として参加していただいた.この他,唯識に関連する内容については佐久間秀範名誉教授(筑波大学)からも助言をいただいた. 初年度のおわりに経典読誦・読誦経典国際ワークショップ The Workshop on Sutra Recitation and Reciting Sutrasを開催した.このワークショップでは国際的に活躍している20名以上の仏教研究者が集まり,それぞれの専門分野から多くの知見を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の後半に引き続き初期大乗経典のなかで使用されるダルマパルヤーヤとパルヤーヤについて研究を進める. 現在は『法華経』の用例の整理を進めており,この整理が終わり次第,『般若経』や『華厳経』などについても研究を進める. コロナ禍における研究活動の制限がなくなったことから,国内外の仏教研究者たちと協力し,読誦経典のサンスクリット写本を解読する研究会を開催したいと考えている.具体的な内容としてはゲッティンゲンのChung Jin-il博士や,チュラロンコン大学のTudkeao Chanwitと協力し,研究調査や現地での研究会の開催を計画している. 上記をもとに,研究代表者と研究分担者の各自が最新の研究成果を学会などで発表する.
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