研究課題/領域番号 |
23K00056
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
井田 克征 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (60595437)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ヒンドゥー教 / ガナパティ派 / バクティ / プラーナ / ガネーシャ / 印度哲学 / インド神話 |
研究開始時の研究の概要 |
象の頭にずんぐりした身体という姿で知られるガナパティ神(ガネーシャ,ヴィナーヤカとも)は,ヒンドゥー教を代表する神格の一つとして広く知られる。特にインド中西部のマハーラーシュトラ州においては,この神を崇拝するガナパティ信仰が盛んである。 本研究は『ガナパティ・プラーナ』『ムドガラ・プラーナ』などの同派の聖典を精査し,またそれに先行するヒンドゥー聖典等と比較することによって,このガナパティ派がいかなる経緯で教理を形成し,民衆に受け入れられていったのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は,インド中西部のマハーラーシュトラ地域において16世紀以降に発展したガナパティ派において重視されているプラーナ聖典『ガネーシャ・プラーナ』および『ムドガラ・プラーナ』を基本的な資料として,ガナパティ神を主神とするこの民衆的な宗教集団にいて信奉される救済論の基本的枠組みを明らかにするとともに,それが諸々の先行思想からどのような影響を受けつつ成立したのかという問題を検討するものである。 研究の初年度にあたる本年度は,まず基礎資料となる『ガネーシャ・プラーナ』および『ムドガラ・プラーナ』のサンスクリット語およびマラーティー語の新しい刊本を収集した。比較的新しい時代に属するこの地域のガナパティ信仰において,マラーティー語版の聖典はサンスクリット刊本と並んで非常に大きな役割を果たしたものと思われる。 8月末にマハーラーシュトラのいくつかの地域で行った資料調査では,『ガネーシャ・プラーナ』などいくつかの重要な写本を入手した。同時にモレーガオンやチンチワードなどにあるガナパティ派の重要な寺院を訪れて,ガナパティ派の宗教パンフレットやマハートミヤ文献などを収集した。さらに研究協力者を通じて,北インドヒンディー語圏におけるガネーシャ信仰に関する二次文献,パンフレット等を入手した。 現地調査以外の期間は,主に『ガネーシャ・プラーナ』の刊本から「ウパーサナ・カンダ(礼拝編)」にあるガネーシャ・チャトゥルティーの縁起譚を中心に解読,分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『ガネーシャ・プラーナ』のいくつかの重要写本に関しては,すでに所在確認等が終わっていたこともあって比較的スムーズに収集することができた。現地調査の際に,近年になって刊行されたサンスクリット校訂本やマラーティー語訳が当初の想定以上に数多く収集された。またローカルな出版社,寺院の出版部門などが出しているガナパティ派関連の資料,二次文献なども思っていた以上に数多く出版されていることが分かった。 資料収集が順調であった一方で,テキストの分析及び校訂作業は,当初予想していたほどには進まなかった。『ガネーシャ・プラーナ』の「ウパーサナ・カンダ」を中心に,今年度は主にガネーシャ・チャトゥルティー祭の縁起譚や祭礼の詳細に関わる場所を扱った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の現地調査の中で,マラーティー語版の『ガネーシャ・プラーナ』『ムドガラ・プラーナ』や,それらの綱要書,解説書などが数多く見出された。民衆的なガナパティ派の系譜の中では,サンスクリット語聖典と並んで,もしくはそれ以上にこれらのマラーティー語のテキスト類が重要な意味を持っていたものと思われる。ゆえに今後の研究の中では,これらのマラーティー語テキストも逐次参照していく必要があるだろう。 本年度は主に『ガナパティ・プラーナ』の「クリーダー・カンダ」にあるガネーシャ・プージャーおよび祭礼に関わる箇所の分析を行ったが,来年度以降はその背後にある神秘思想や救済思想を明らかにしていくことになるだろう。
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