研究課題/領域番号 |
23K00090
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
橋本 直人 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80324896)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Max Weber / Textmining / Social Thought / German Sociology / Eugenics / Philosophy of Law / マックス・ウェーバー / ドイツ社会学史 / テキストマイニング / 方法論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究計画は、マックス・ウェーバーおよび同時代ドイツの社会諸科学のテキストを対象として、伝統的な意味解釈アプローチの蓄積を踏まえつつ、テキストマイニングを中心とする計量的アプローチを併用し、具体的なテキスト解釈を深めるとともに、新たな研究手法の開発を進める。このことを通じ、最終的には(1) ウェーバーの理論的変化、およびその変化と同時代のドイツ社会諸科学との関連を実証的かつ有意味に解明するとともに、(2) この解明のプロセスを通じて思想史・理論史研究へのテキスト計量分析の導入による新たな研究手法の開発を行ない、この手法が実際に有効であることを、実例を通じて提示する。
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研究実績の概要 |
今年度は、研究計画に従って(1)マックス・ウェーバーのテキストに関する計量的な分析を進めるためのデータ整備と分析を行なうとともに、(2)ドイツに渡航してマックス・ウェーバーの同時代資料を収集し、計量的な分析の前提となる電子化作業を進めた。 (1)に関しては、マックス・ウェーバーの理論形成における重要な局面の一つとして、ウェーバーと初期ドイツ社会学会との関係について、第1回・第2回ドイツ社会学会の『会議録』を対象として計量的な分析を行なった。そしてその成果の一部として、2024年2月に開催された国際コロキウム「Language Use and Its Symbolic Power」(東京都立大学)にて、"Text mining on early German sociology and Max Weber"という表題の講演(招待あり)を行なうことができた。 また(2)に関しては、研究計画に従って、エディット・ハンケ氏(バイエルン科学アカデミー)およびヴォルフガング・シュルフタ―氏(ハイデルベルク大学)の協力を得て、バイエルン州立図書館およびハイデルベルク大学図書館にて資料収集を行なうことができた。その結果、日本の図書館には収蔵されていない重要文献として、同時代の著名な優生学者であるA. プレッツが中心となった雑誌『Archiv fuer Rassen- und Gesellschafts-Biologie』をはじめ、ウェーバーおよび当時のドイツ社会科学の理論形成に影響力を持っていたと推定される資料を収集、電子化することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り、今年度の研究計画の成果に基づき、マックス・ウェーバーの思想形成過程に関する重要な局面の一つであるドイツ社会学会との断絶をめぐるテキストの計量分析を行ない、その成果として国際コロキウムにおける招待講演を行なうことができた。 また、ドイツに渡航して主要な図書館2か所を調査することにより、日本国内の図書館には収蔵されていない同時代の重要資料を電子ファイルとして収集することができた。現在は収集した資料のデータ整理に取り掛かっている段階であり、おおむね研究計画の通りに進行している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの順調な進展を踏まえて、今後は(1)引き続きマックス・ウェーバーのテキストに関する計量分析を進め、特に前年度に講演として発表した内容を活字化するとともに、分析対象を拡大し、ウェーバーの思想的展開を解明することで、思想史の研究方法としての応用可能性を検証する。また(2)収集した資料のデータ整備を進め、分析可能となった資料から計量分析を行ない、同時代の思想史的な布置を定量的に明らかにする方法論の開発を進める。 ただし、当初の研究計画では2024年度にもドイツで補充的な資料収集を行なう予定だったが、昨今の円安および物価高騰の影響により、資料収集のための渡航費用が当初計画より増大する恐れがある。そのため、今後は国内で収集可能な資料に限定して分析を進める可能性も検討している。 この影響により、資料面ではやや制約が発生する恐れはあるが、思想史研究の方法論の開発という観点からは、おおむね問題なく研究を推進できると考えている。
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