研究課題/領域番号 |
23K00098
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
菅野 賢治 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 教授 (70262061)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ユダヤ・ジェノサイド / アウシュヴィッツ / 夜と霧 / ホロコースト / ショアー / ユダヤ / ジェノサイド / 日本 / 映画 |
研究開始時の研究の概要 |
歴史の事象は、①それを直に体験した第一世代による〈証言〉の時代、②その事象が「何であったか」を思考する第二世代による〈意味づけ〉の時代を経て、③その〈意味づけ〉の作業を司る思考の型そのものがいかなる変遷を経て今日にいたったか、客観視しようとする第三世代による〈俯瞰〉の時代へ引き継がれる。本研究は、第二次大戦期、ナチス・ドイツが六百万人ともいわれるユダヤ教徒・ユダヤ人の集団に対して行ったジェノサイドの事跡をめぐり、②の〈意味づけ〉作業が、ここ日本の地で、日本語により、いかなる変遷をたどってきたか、活字媒体のみならず映画作品をも射程に入れながら思想史として描き出すための研究基盤を築くことを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、欧米世界におけるユダヤ・ジェノサイド解釈の変遷史として研究代表者がかねがね措定してきた以下の時代区分が、日本の思想界、言論界についてどこまで妥当性を持つか、検証することであり、初年度の2023年度には、【第一期】1945~1960年:終戦からアイヒマン逮捕までの時期につき、①特定の活字媒体(大手日刊紙、『朝日ジャーナル』『週刊朝日』『週刊読売』『サンデー毎日』『週刊文春』『週刊サンケイ』他)の通時的な検索作業、②関連映画作品の年代順の検索と分析作業、③特定の映画雑誌(『キネマ旬報』『映画の友』『映画評論』『映画芸術』『スクリーン』)の通時的な検索作業、④同時代の出来事との連関性に関する考察、以上四つの作業を行った。研究計画調書で強調しておいたとおり、日本におけるユダヤ・ジェノサイド観をたどる上で活字資料と並んで重視しなければならない映像資料(映画)について、古い時代の映画の復刻版を入手して鑑賞し、それらについての文献(映画評)を網羅できたことは大きな収穫であった 上記の主として国立国会図書館における文献収集の成果は、「日本におけるユダヤ・ジェノサイド関連文献目録」として専用インターネットサイトに掲載し、一般公開している。 また、本課題の終了時に公開する研究成果として、『アウシュヴィッツ、夜と霧、ホロコースト、ショアー――戦後日本のユダヤ・ジェノサイド受容史』との仮題のもとに原稿を起こし、2023年度の作業内容を反映させた一章「第一次〈アウシュヴィッツ〉期 1945~1956」の執筆をほぼ完成させた。 併せて、本研究課題の主題に並行している戦時期上海におけるユダヤ難民の記憶に関する調査も、すでに受け入れが終了した科研費の課題を継続する形で行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究実績の概要」に記したように、当初の研究計画どおり、2023年度に集中的に行う計画であった【第一期】1945~1960年:終戦からアイヒマン逮捕までの時期につき、国立国会図書館での文献収集は着実に進んでおり、当該時期について十全な検索作業ができているほか、【第二期】以降の時期についても、一部、作業を先取りし、調査結果を専用インターネットサイト上で公表することができている。研究計画調書で予見していたとおり、本研究課題については、公論の形成に映画が果たした役割の重要性が確認され、個々の映像作品の分析、ならびにそれに対する公開当時の一般市民の反応を分析が順調に進んでいる。 これも上記のとおり、課題終了時の公開を期して稿を起こした『アウシュヴィッツ、夜と霧、ホロコースト、ショアー――戦後日本のユダヤ・ジェノサイド受容史』(仮題)も、「はじめに」と「第一章」の執筆がほぼ完了しており、このまま2024年度以降も同様の執筆作業が順調に進むものと予想される。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降も、当初の研究計画どおり、【第二期】1961~1977年:アイヒマン裁判の衝撃とその受け止め、【第三期】1978~1994年:「ホロコースト」史観の定着、【第四期】1995年~現在:戦後50周年から今日まで、の各時期について、今年度の作業を国立国会図書館において着実に継続していく。 映像資料(映画作品)の一部には、国立国会図書館には所蔵がなく、DVDなどとして復刻もされていないものがあり、これについては、国立映画アーカイブに出向いて検索作業を行う必要がある。 課題終了時の公開を期して起稿済みの『アウシュヴィッツ、夜と霧、ホロコースト、ショアー――戦後日本のユダヤ・ジェノサイド受容史』(仮題)についても、文献収集と並行して執筆を続けていく。とりわけ、「はじめに」と「第一章」を執筆し終えた段階で、「ホロコースト」ならびに「ショアー」の呼称についての語彙研究を挿入する必要性が感じられており、2024年度は、この語彙研究も並行して行なっていく。 本研究課題に密接に関わり、過去に受け入れた科研費の研究課題であった戦時期上海のユダや難民についての調査(とりわけ元難民たちが残したイディッシュ語日記の解読)も、併せて並行して進めていきたい。
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