研究課題/領域番号 |
23K00105
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
小林 徹 龍谷大学, 文学部, 准教授 (70821891)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 現象学 / 人類学 / 構造主義 / フランス現代思想 / 哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、人間性を定義づける「象徴形式」の働きについて、モーリス・メルロ=ポンティとクロード・レヴィ=ストロースが提起した「野生」概念の観点から理解し、彼らに対する理論的あるいは哲学史的批判の検討を通じて、また「存在論的転回」を経たとされる現代人類学が提起する世界の捉え方(特に新型ウイルスをめぐって噴出している諸問題)を確認することによって、より今日的な人間理解の可能性と、その実践的な射程を探るものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、人間性を定義づける働きとして従来取り上げられてきた象徴(シンボル)の能力について、哲学的人間学の立場(現象学)を踏まえつつ、現代人類学における「存在論的転回」の観点から、特に「野生」概念を中心に解明することを目指すものである。20世紀のフランス哲学史では、人間的自由の問題を中心に置く実存主義から、言語論的な側面から脱人間中心主義を展開する構造主義への移行が素早く行われ、人間性に関する問いが置き去りにされてしまった感があるが、今日、主に認知科学によって現象学的な観点が再評価される中で、現代人類学においても、人間性や人間が持つ象徴(シンボル)の能力に関する哲学的理解を再評価する動きが見られる。 こうした問題意識を踏まえ、研究の初年度となる2023年度では、現象学者モーリス・メルロ=ポンティと思想的な対話を交わしながら現代人類学の礎を築いたクロード・レヴィ=ストロースの構造人類学の発生と展開について、文献調査を行った。発生については、レヴィ=ストロースとロマーン・ヤーコブソンとの往復書簡を歴史的資料として中心的に取り扱い、特にサイバネティクスに大きく影響されたヤーコブソンの構造言語学との差異化を目指す試みとしてレヴィ=ストロースの構造人類学を論じた(「戯れと遅れ:レヴィ=ストロースの構造主義」)。また構造人類学の展開については、レヴィ=ストロース自身における内在的な思想の変化を視野に入れつつ、その後の世代(主にフィリップ・デスコラやフレデリック・ケック)による構造概念の継承について調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の進捗状況については、本年度(2023年度)の前半を育児休業期間としたため、予定していた計画のうち、海外の研究者(特にフィリップ・デスコラとフレデリック・ケック)へのインタビューについては行うことができなかった。しかしながら、ケックについては、感染症に関する勉強会等で意見交換する機会を得ることができた。また、本年度の大きな目標となる、クロード・レヴィ=ストロースの構造人類学の発生と展開を調査するという課題については、ロマーン・ヤーコブソンとの間に交わされた『往復書簡』の日本語訳を完成させ、学会発表も行うことができた。以上の理由から、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策については、基本的には当初の実施計画通りに、メルロ=ポンティを中心に哲学的人間学に関する文献調査を進める。また、クロード・レヴィ=ストロースと現象学者(ポール・リクールやエマニュエル・レヴィナス)との間に交わされた議論を整理しつつ、同じく構造主義に分類されるジャック・ラカンとの影響関係を精査することによって、レヴィ=ストロースにおける象徴(シンボル)の理論と「他者」をめぐる哲学的議論との接近(あるいは分離)を、歴史的かつ理論的観点から精査する。文献調査に基づいて哲学的議論を深めると同時に、人類学の専門家との交流を密に行い、象徴(シンボル)をめぐる哲学的言説の今日的な意義と可能性を多角的に検討する。
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