研究課題/領域番号 |
23K00113
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
長谷川 章 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (60250867)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ロシア映画 / ロシア・アニメ / 現代ロシア文化史 / ロシア / 映画・アニメーション / 児童文学 |
研究開始時の研究の概要 |
後期ソ連から現代ロシアでウクライナ戦争が始まった時期までの数十年のあいだで、児童向け映画、アニメーション、文学においてどのような倫理観の変遷があったのかを、具体的な作品の分析を通して明らかにする。 児童向けに注目する理由は、ソ連期にはこの領域が子供相手で「取るに足らない」ものとされ検閲が緩く、強権的体制の中でサンクチュアリ的性格を有していたためである。こうしたサンクチュアリ的特性が現代でも維持され、良心を守り抜こうとする倫理性を保っているのかに焦点を当て研究を進める。
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研究実績の概要 |
本研究は、ソ連後期の1980年代前半から今次のウクライナ侵攻までの約40年間の期間に、児童向けの映像作品(映画、TVドラマ、アニメ)がどのような変貌を遂げたのか、またソ連期と現在で共通する文化的基盤や倫理的価値観は何かを探ろうとするものである。 初年度である2023年度は、ソ連・ロシアの映画、アニメ関連資料・文献を幅広く収集し読み込むことで本研究発展の基礎固めをすることを最優先の課題とした。そのためには、まず、令和2年度から4年度までの先行する科研費研究「現代ロシアにおけるソビエト・ポップカルチャーの再解釈・文脈改変の事例研究」(基盤研究(C)(一般)20K00121)の成果との接合を図る必要があった。 1980年代前半の停滞の時代からプーチン政権の強行化とウクライナ戦争までの経緯は、本研究でも先行研究でも時代背景として等しい。このスパンの中で、ロシア映画史・文化史を考える意義についてあらためて探究を深め、その成果を、単著論文「ふたつのサイクルの狭間で ―ツォイと後期ソ連文化の終焉について―」」(『秋田大学教育文化学部研究紀要 人文科学・社会科学部門』第79集所収、2024年3月)にまとめ公刊することができた。また、現代ロシアの映像芸術・文学についての考察を行った、共著『行き交い、集う人々 感染症x文系力』(秋田魁新報社、2023年)も刊行した。 現在、政治状況の悪化でロシアでの文献調査が困難になっているが、その不利を克服しながら、文献収集と読解も概ね順調に推移し、2024年度には本格的な作品・事例研究の成果が出せる見込みとなっている。この点で、初年度の研究は十分進捗したと言えるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、ロシアには日本外務省からレベル3の渡航中止勧告が出ており、政治的弾圧の強化を考慮すると、現地での文献収集は困難な状況にある。そのために、ロシア本国以外でも入手可能な書籍・インターネット上の文献・資料をできるだけ集めることによって少しでも不備が改善されるようにつとめてきた。その中で、初年度に、この40年の期間の映画史・文化史研究の意義について十分考察を深めた論文を刊行できたことで、研究発展への基礎固めは無事遂行された。以上から、大体において予想された進度で研究を進めることができたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の2024年度には個々の作品・事例研究を進め、その成果を論文として公刊する予定である。最終年度の2025年度には、前年度の事例研究から総合的な結論を導き出し、初年度に考察したこの40年間の映画史・文化史研究の意義に対し、十分に答える成果を出していきたい。また、ロシアでの文献調査が困難だとしても、バルト三国などの他の旧ソ連諸国で代替となる調査が可能かについても検討していく予定である。
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