研究課題/領域番号 |
23K00118
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
|
研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
瀬尾 尚史 都留文科大学, その他部局等, 特任教授 (00839665)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 映画史 / リュミエール / シネマトグラフ / リアリズム / 博覧会 / 映像論 / 表象文化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、リュミエールのシネマトグラフの誕生によって生み出された新たな現実感とその拡大が、人間の世界観に及ぼした影響について論じる。本研究が目指すのは、映画初期の「原始的」映像の持つ様々な特性について取り上げることで、人間の眼が如何に新たな表象芸術の誕生と向き合い、それを制御する為の手立てを講じてきたかを検討することである。また、リュミエール社が世界中に派遣をしたカメラマンたちが撮影をした映像の分析を通じて、メディアとしての映画が世界中に伝播をしたことで、我々人間の世界観を如何に変容させてきたのかを探り、今日の我々が動く映像と向き合う際の問題点を明らかにしていく。
|
研究実績の概要 |
本年度は国内での文献調査と、フランス・パリでの実地調査を行った。 文献調査においては、19世紀末から20世紀初頭に開催された各種博覧会に関する研究書や論文を入手し、内容分析を行った。当時の帝国主義のイデオロギーを色濃く反映した博覧会について調査したことで、シネマトグラフ作品もまた、そうしたイデオロギーからは逃れられないメディアであることを理解することができた。 2024年3月には、パリのフランス国立図書館で4日間の実地調査を行った。フランス国立図書館のオーディオ・ヴィジュアル部門では、フランス国立映画アーカイヴのデジタル化された所蔵作品を閲覧することができる。本研究の分析対象であるリュミエール社のシネマトグラフ作品は、現存するものは全て所蔵されていることから、本研究を進めていくにあたって、こうした現地調査は不可欠のものである。今回は、大都市に作られたネイティヴ・ヴィレッジで行われた先住民たちの「人間の展示」を撮影したフィルムを中心に鑑賞し、分析を行った。こうした国立映画アーカイヴの調査を行ったのは、博士論文執筆時以来であり、ほぼ10年ぶりのことであった。久しぶりにアーカイヴの作品を調査したことで、リュミエールのシネマトグラフ作品が持つ、映画的豊かさや研究対象としての可能性の大きさを再認識することができた。 今回の実地調査の成果は、「帝国主義時代における異文化の表象」の論文タイトルで、2024年度中に都留文科大学の研究紀要に発表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍がほぼ終息したことで、自由な海外渡航が可能となり、フランス・パリでの現地調査を行うことができた。ただ、他の校務出張の関係から、年度末の3月の、しかも4日間のみの現地調査となってしまったことと、その成果の発表は来年度になってしまったことは残念であった。ただし、最低限必要な文献調査や作品分析は行えたことから、初年度の進捗状況としては、おおむね順調に進展していると自己評価している。
|
今後の研究の推進方策 |
現地調査での成果を踏まえて、引き続き研究テーマを精緻化していきたい。ただし、研究対象であるシネマトグラフ作品は合計1300本に及ぶ。1本が1分足らずの作品であるとはいえ、その全貌を理解し、分析するまでにはかなりの時間を要する。残念ながら、今回の現地調査で分析できたのは、ほんの一部に過ぎず、再度の現地調査の必要性を強く感じている。したがって、今年度は研究をスタートさせるにあたっての物品費と海外渡航費が支出の中心であったが、来年度は海外渡航費の占める割合が大きくなることが予想される。円安や燃料費の高騰で、海外渡航費も値上がりが続いているだけに、無駄なく効率よく支出できるように、渡航時期の選択などで工夫をしていきたい。
|