研究課題
基盤研究(C)
20世紀初頭にかけて合衆国音楽家が直面したアメリカ「国民音楽」の樹立という課題は、主として、民謡の援用およびネイティヴ・アメリカンや「ニグロ」の文化の音楽的再現へと帰結した。他方、白系ロシア人の移入と第一次大戦後に加速した米欧間の文化移転は、多くの合衆国音楽家に「アメリカの」現代音楽の構築の必要性を認識させることとなった。本研究は音楽創作活動を文化ナショナリズム運動の一つとして捉えたうえで、それを一次資料の検証と新たな歴史記述概念(「national indifference」)の援用を通じて検証することで、自由社会における「芸術実践」と「国家」との関係性を新たな視座から再考察するものである。