研究課題/領域番号 |
23K00146
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
泉 美知子 中央大学, 文学部, 准教授 (00742983)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ピトレスク / ピクチャレスク / ノルマンディー / 文化財保護 / アイデンティティ / 中世考古学 / リトグラフ / 風景画 / ロマン主義 / 19世紀フランス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、18世紀にイギリスで発生した「ピクチャレスク」の概念が、フランスにもたらされて「ピトレスク」の語として定着した後、どのような独自の展開を見せるのかについて、19世紀前半の地誌や旅に関わる大型挿絵入出版物を通して考察する。版画という媒体によって広まり共有されるピトレスクなイメージが、文化遺産を発見するための感性や、保護意識の形成といかに結びつくのか、という問いのもと、ロマン主義の潮流や風景画の発展といった同時代の文学的・芸術的文脈を踏まえながら分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、イギリスで発生した「ピクチャレスク」の概念が、フランスにもたらされて「ピトレスク」の語として定着した後、どのような独自の展開を見せるのかについて、19世紀前半の大型挿絵入り出版物を通して研究する。版画という媒体によって広まり共有されるイメージが、文化遺産を発見するための新しい感性や保護意識の形成にいかに結びついたのかを考察することを目指している。 主たる分析対象である『古きフランスのピトレスクでロマンティックな旅』全巻のイメージ制作に関わった画家をすべて調査した。そのうえで、「ノルマンディー」(1820、1825年)と「ピカルディー」(1835、1840、1845年)における、ゴシック建築を描いた画家を分析した。「ノルマンディー」の巻つまり初期のイメージ群は、フランス画家によって制作されたが、トゥルバドゥール画家を中心とした今日ではあまり知られていない多くの画家たちを発見することができた。また「ピカルディー」の巻では、ページのヴィニエット(ページの枠取装飾)が追加され、フランス画家だけでなくイギリスをはじめとする外国の画家たちも名を連ねるようになり、旅するイギリス水彩画家の影響を確認することができた。 さらに先行研究の把握に努めた。「ピクチャレスク」をテーマにした英語による先行研究は数多くあり、日本でも研究書が刊行されているが、フランスの「ピトレスク」そのものを論じるまとまった先行研究は少ない。研究実績が豊かなイギリスに比べると、フランスでは雑誌論文が散らばっている状況であり、この研究テーマが体系化されていないことが把握できた。また本研究の問題意識に関わる、19世紀前半を対象とした次のようなテーマの先行研究を調査した。ノルマンディー地方におけるアイデンティティ形成、ノルマンディーと作家、風景画における英仏交流、版画媒体の発展である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では次の5つのポイントを挙げた。①概念分析、②テクストとイメージ、③イメージ分析、④考察(保護論)、⑤考察(19世紀美術史) 1年目は、本研究を進めるにあたっての土台を整えた。「①概念分析」のための先行研究を調査するのに多くの時間を費やしてしまい、それらの内容を把握したうえで考察を深めるには至らなかった。さらに『古きフランスのピトレスクでロマンティックな旅』全巻のリトグラフは3000枚以上あると言われており、そのイメージ制作に関わった全ての画家の名前を把握するだけでも時間を費やした。この調査を踏まえたうえで、ノルマンディーとピカルディーの巻における中世建築のリトグラフのイメージ分析を始めている。 本研究では2回の海外出張を予定しているが、1年目は実行できなかった。理由としては、申請時の金額が、最近の飛行機代の値上げと円安を想定したものではなかったからであり、予算が足りず出張できなかった。その代わり、学内研究費と自費でパリに出張した機会を利用して、フランス国立図書館およびフランス国立美術史研究所にて、19世紀前半の中世考古学の動向とイメージの関係を分析するための一次資料を入手することができた。この資料によって「②テクストとイメージ」に関わる分析を進めることができる。
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今後の研究の推進方策 |
当初はイギリスの「ピクチャレスク」研究実績を参照することを考えていたが、今回の短期間の研究ではそれが不可能であることが分かった。さらに「リトグラフ」を19世紀前半におけるメディアという観点から分析したいと考えていたが、研究領域が拡大する可能性があるため、本格的な研究は次回申請時のテーマとして見送りたい。今後はフランスの「ピクチャレスク」と文化財保護意識の問題に絞って研究(概念分析、イメージ分析、保護論の考察)を進める予定である。 また、1年目に実現できなかった海外出張を、2年間分の研究費を使って計画している。本研究はとりわけ北フランス(ノルマンディーとピカルディー)の中世建築を対象としているため、1~2週間滞在して実地調査をする予定である。
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