研究課題/領域番号 |
23K00147
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 東京音楽大学 |
研究代表者 |
金城 厚 東京音楽大学, 付属民族音楽研究所, 教授 (50183273)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 琉球芸能 / 組踊 / 御座楽 / 三線 / 韓国音楽 / 一曲多用 / 沖縄音楽 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近世琉球における中国音楽受容の実像を音楽史的、音楽理論的に解明することにより、中国はもとより、アジア的視点で琉球音楽文化を位置づけることを目的とする。 近世までの琉球は、日本と中国両方の影響を採り入れつつ、独自の個性ある文化を形成してきたが、音楽・芸能に関しては、日本の影響を論じた研究がほとんどを占め、中国の影響を具体的に論じた研究は僅少である。 本研究は、琉球の音楽を①儀礼的音楽、②世俗的音楽、③劇音楽の3つの領域に分け、それぞれで中国音楽から受容した要素を具体的に明らかにして、従来のような日本の音楽・芸能との関係に偏るのではなく、中国音楽からの受容も大きいことを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、琉球音楽のうち、1儀礼音楽、2組踊音楽、3古典音楽の3つの課題について、中国音楽の影響を検討することとしている。本年度は数回に分けて沖縄県立芸術大学に出張し、関係資料の収集活動を行ったほか、研究協力者との打合せを数回実施し、7月には沖縄県立芸術大学にて研究会を開催した。 7月の研究会では、研究協力者・長嶺らに参加を求めて、研究の全体構想について、公開で意見交換会を行った。とくに長嶺から、中国戯曲音楽についての問題点の提起があり、「曲牌」の概念が日本民謡や琉球音楽の「節:フシ」とはかなり異なることが指摘された。曲牌はかなり変形するものであることが、古典性の強い琉球音楽との違いとなっていることがわかった。その一方で、中国音楽の作曲法としての「放慢加花」は、琉球の「節変わり」との共通点が見られることも議論された。 これにより、中国音楽との構造論的な差異について、検討の方向性が明らかとなった。さらに、これに基づいて、金城と長嶺とで共著論文を執筆して、中間段階の報告とした。論文は所属機関の紀要『伝統と創造』第9号に掲載された。 儀礼音楽の課題については、研究協力者・植村と協議して、琉球と同様な冊封国の立場にある韓国李朝の儀礼音楽と比較することが有効ではないかとの認識を共有した。そこで、次年度において、韓国儀礼音楽に研究実績のある宋芝媛氏を招聘して、沖縄県立芸術大学にて国際シンポジウムを開催することとし、本年度は招聘のための調査・企画活動を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は沖縄での関係資料調査を実施し、嚆矢として、総合的な検討会議を実施した。中間的成果を紀要に執筆した。 第2年度に国際的な研究交流(中国および韓国)を企画することとし、具体案を作成した。とくに、儀礼音楽については琉球と同じ冊封国である朝鮮王朝の儀礼との共通点があるはず、との予測から、韓国での研究成果を学ぶ必要があると考えた。研究協力者・植村東京藝大教授から韓国人研究者の紹介があったので、招聘方針を決定した。 以上、本年度の研究進捗は概ね順調であった。一方、在京の中国音楽研究者との情報交換ができなかったことで、十分ではない面も残っている。
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今後の研究の推進方策 |
第2年度は、6月に韓国の研究者を招聘し、シンポジウムを開催する。ここでは、儀礼の場における演奏者および楽器の身分的位置づけについて、琉球と朝鮮とを比較して検討する。 また、9月には中国の研究者・広州大学音楽院の劉富琳教授を招聘して、シンポジウムを開催する。ここでは、中国戯曲の構造について、琉球組踊との比較検討を行う。また、琉球の華人居住地・久米村で行われていた中国戯曲の実態についての歴史的検討も行う予定とする。これらのシンポジウムは公開して、より広く意見を求め、研究の前進を図りたい。
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