研究課題/領域番号 |
23K00160
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
吉田 紀子 学習院大学, 文学部, 教授 (20433873)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ジェームズ・ティソ / フランス近代美術史 / 複製イメージ |
研究開始時の研究の概要 |
19世紀後半のフランスでは、版画や写真といった複製技法により生み出されるイメージ類が油彩画の制作過程において積極的に利用されるようになった。アカデミックな様式で近代的主題を扱う折衷的画家として活躍したジェームズ・ティソ(1836~1902年)も、大衆向け複製版画を油彩画構想に当たり参照先としていた。本研究ではティソによる1870年代後半~1880年代前半の油彩画および関連する複製イメージを検証材料として、画家が版画印刷媒体をどのように活用し、また本業である油彩画との間でどのような分別を意識していたのかを考察する。興隆する複製イメージが絵画に与えた造形上の影響、各媒体が担っていた審美的価値の揺らぎを明らかにする。
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研究実績の概要 |
19世紀後半のフランスでは、版画や写真といった複製技法により生み出されるイメージ類が油彩画の制作過程において画家たちによって積極的に利用されるようになった。アカデミックな様式で近代的主題を扱う折衷画家として活躍したジェームズ・ティソ(1836~1902年)も、雑誌挿絵等の大衆向け複製版画を油彩画構想に際して重要な参照先としていた。一方で彼は完成した油彩画を自ら精緻に版画化して定期販売を企図するという、複製技術に対して従来とは異なる向かい合い方をしている。本研究ではティソによる1870年代後半~1880年代前半の油彩画および関連する複製イメージ類を検証材料として、画家が各種の版画印刷媒体をどのように活用し、また本業である油彩画との間でどのような分別を意識していたのかを考察する。当時、興隆する複製イメージが絵画の作品生成に与えた造形上の影響、並びに各媒体が担っていた審美的価値の揺らぎを明らかにすることが最終的な目的である。 研究初年の令和5年度は、上半期の4月~5月に当該年度の研究実施細目を決定し、5月~7月に参考文献表の作成、関連研究書の読み込み、研究ノートの作成を進めた。8月21日~9月5日(パリ、アムステルダム)と2月21日~3月1日(パリ)の期間に海外調査を実施した。この間に海外研究協力者1名とも面談して、本研究の着眼点が有する独自性と妥当性をめぐり意見交換した。下半期の10月~2月には研究ノートの作成を継続し、短いものであるが本研究と連係する批評論文の執筆を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作品および資料調査、関連研究書の読み込み、研究ノートの作成はおおむね順調に進捗している。また本研究の核心をなす学術的問いを反映させた「書評」1件と「展覧会評」1件を執筆し、次年度に順次公開される見込みとなった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究実施計画に基づき、次年度も海外における作品・資料調査と国内における考察の取りまとめを並行して進める予定である。次年度以降、研究の中間的成果を論文や学会発表という形で議論の俎上に載せられるように準備を進めたい。
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