研究課題/領域番号 |
23K00167
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
平井 章一 関西大学, 文学部, 教授 (30640255)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 新しい絵画世界展 / アンフォルメル / 具体美術協会 / 国際交流 |
研究開始時の研究の概要 |
「新しい絵画世界展―アンフォルメルと具体」は、1958年4月に大阪なんば高島屋で開催された後、同年9月まで長崎、広島、東京、京都を巡回した展覧会である。 同展はフランス人の美術評論家、キュレイターのミシェル・タピエと具体美術協会の主宰者吉原治良が企画した「アンフォルメル」の国際的かつ大規模なデモンストレーションであり、新しい美術運動が世界的な規模で同時的に展開する今日の状況の原点としてきわめて重要である。 そこで本研究では、同展の調査を通じ、戦後間もない1950年代半ばの日本人にとって、また日本の美術にとって、国際的な美術運動の主体者になるとはいかなることであったかという「問い」について考察する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、申請時の計画にそって、大阪中之島美術館で「新しい絵画世界展―アンフォルメルと具体」の企画者であった吉原治良と具体美術協会のアーカイヴ調査に集中し、同展の企画の発端や実現までの経緯、出品作品の詳細、展示構成の詳細などにかかる資料(写真、新聞記事、内部文書など)を収集した。これにより、不十分ながらも、「新しい絵画世界展―アンフォルメルと具体」の展示内容をつかむことが出来た。 また、東京国立近代美術館アートライブラリ、国立新美術館アートライブラリー、国立国会図書館で、関西では入手困難な「新しい絵画世界展―アンフォルメルと具体」に関連する資料の収集(主に「新しい絵画世界展―アンフォルメルと具体」が巡回した地の新聞記事や雑誌記事)を行った。この調査では、「新しい絵画世界展―アンフォルメルと具体」の出品作品が、当時、東京や大阪といった大都会だけでなく、京都、長崎、広島でどのように受けとめられたのかを知ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、2023年度は大阪中之島美術館でのアーカイブ調査に充てていたが、大阪中之島美術館のアーキビストが昨年度末で退職し、年度当初からアーカイブズ情報室が閉鎖されてしまった。後任のアーキビストが着任後も開室のめどが明らかにされない状況が続き、結局11月の開室までアーカイブが閲覧できないという予期せぬ事態が発生した。また、アーカイブズ情報室で公開されている資料が同館が所蔵するアーカイブ資料のすべてではなく、特に記録写真についてはデジタル化がまだ完了していないことも判明した。そのため大阪中之島美術館での成果を受け調査対象を絞るつもりであったパリ、ポンピドゥ・センターでのミシェル・タピエのアーカイブ調査も、時期を逸してしまった。 こうしたことから当初の計画を再考せざるを得なくなり、結果、遅延が発生している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、昨年度実施できなかったパリ、ポンピドゥ・センターでのアーカイブ調査と、イタリア、トリノの「国際美学研究所」のオーナー、アダ・ミノーラ氏(故人)の遺族ジオ・ミノーラ氏所蔵の資料群を調査する。ただし今年度は夏にパリでオリンピックが開催されるため、経費の高騰と混雑を回避するため時期は秋以降とし、それまでの間は同展に出品された作品が国内外の美術館等に現存する場合はその調査や、国内の図書館等で同展の各会場での反応や本展が与えた影響の調査を行うこととする。
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