研究課題/領域番号 |
23K00170
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
藤原 貞朗 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (50324728)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 工芸史 / 陶芸 / ポストジャポニスム / 東西文化交流 / 伝統文化 / ナショナリズム / 伝統工芸 / 戦後日本 / 東西の往還 / 日仏交流 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の伝統文化への関心は1930~40年代に覚醒し、1950年代に無形文化財制度などを通じて復興を遂げたが、その背景に戦時の国策的ナショナリズムの影響があったことが近年の研究で明らかにされている。一方で、この伝統復興の時代に、欧米でのポストジャポニスムの日本文化研究の深化がいかに関与したかは検証されていない。本研究は日本の伝統文化論に、ジャポニスム以後の欧米での日本文化研究の深化がいかに関与したのかを具体的に明らかにする。「協働」関係にあったのか、対立的な「競合」関係にあったのか。伝統復興のナショナリズムが欧米との往還的でインターナショナルな相互作用によって形成されたことを明らかにする。
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研究実績の概要 |
4-7月にかけては、研究課題①(「進捗状況」を参照のこと)のため、国内の図書館(国会図書館を中心に美術館の資料室など)の文献の調査と収集を行った。収集した資料については、適宜、データ化と読解、分析を継続的に行っている。8-9月には授業のない期間を利用して国内調査として、京都と丹波の窯業地で陶芸家の工房と美術館、瀬戸の製陶地と美術館などで資料調査と収集を行い、本研究に関わる資料を集めた。とりわけ、瀬戸では重要な資料、および作品を発見することができた。今後(来年度以降)も、継続してこの地域の調査と資料の考察・分析を行ってゆく必要がある。また、調査領域を広げて、美濃地域の調査も必要であることを理解した。調査後は、研究室において、収集した資料に関して、適宜、データ化と読解、分析を継続的に行っている。 10-1月は国内調査で収集した資料の整理と、4-7月と同様に国会図書館や各種美術館・研究施設の資料室を中心にして文献収集を行った。 2-3月には、岡山(備前)・京都の窯業地を訪問し工房と美術館の調査を行い、継続的に本研究に関わる資料を収集した。また、(国会図書館に収蔵されないものを中心に)考古学、古美術関連の古書、古雑誌を購入し、資料の講読と分析を開始するとともに、データベース化、年表化の作業にも取り掛かった。とりわけ、視覚資料データの収集と整理、データベース化には時間を要している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に行ったのは、5つの研究課題のうち、「①1930‐50年代の欧米人による日本伝統文化論を、著書・論文・雑誌・展覧会カタログなど多様なメディアを通じて収集し、データベース化、および年表化」、「②日本の伝統復興のプロセスに直接的・間接的に関与した日本および欧米の事例(展覧会、美術政策、美術館行政など)とそれらに関わる美術作品、文献資料、視覚資料などを収集調査し、データベース化」である。②については、主として国内の調査を進行している。授業のない期間の出張を利用して、現在のところ、順調に調査と資料収集を行うことができている。 収集した資料については、データベース化と年表化の作業を随時進めており、おおむね順調に作業が行われている。一部、調査報告の執筆も進行しているが、まだ資料の収集と分析が十分ではなく、発表する段階には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、4-8月にかけては、上記の①・②の継続を課題として、国内調査を中心に研究を進める。9月以降は、「④伝統復興ナショナリズムに関与した日本の美術家と知識人と、欧米(のポストジャポニスム)の思潮との関連を示す著作や出来事、展覧会の事例を調査収集しデータベース化」に着手し、1930‐50年代の日本の美術関係者(とくに工芸家)の欧米での活動(展覧会、講演など)の調査、および彼らの活動に関与した日本の美術関係者や欧米通の知識人との関係を示す事例の調査を行う。9-10月と2月に2度の国外調査を予定している。海外調査費予算の高騰により、調査は難しくなっているが、今年はサバティカル期間中でもあり、費用ができるだけ低く行うことができる時期に効果的に調査を行いたいと考えている。
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