研究課題/領域番号 |
23K00171
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 篤 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10212226)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日仏美術交流 / サロン絵画 / ジャポニスム / フォーヴィスム / 日本近代洋画 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、19世紀後半から20世紀前半にかけての日仏美術交流史を、ジャポニスムと日本近代洋画に関わる四つのテーマに沿って調査し、考察する。すなわち、「ジャポニスム研究の拡大」、「パリ万国博覧会と美術・文化交流」、「日本近代洋画家と留学体験」、「20世紀前半における美意識の交差」の四つであり、各々のテーマにおいて二つずつ新しい問題を取り上げる。これまで未踏査の問題の解明を目指すもので、学術的な独自性、創造性を確信している。この研究を通して日仏美術交流史の内実と意義を示すことによって、比較文化史としての美術史の新たな可能性もまた明らかになるであろう。
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研究実績の概要 |
2023年度は「ジャポニスム研究の拡大」というテーマの下に、(1)1880年から1900年までのサロン絵画における日本趣味、(2)フォーヴィスム(野獣派)におけるジャポニスム、という2つの問題に取り組む予定であった。 しかしながら、当初予定していたフランス出張(パリのフランス国立図書館とオルセー美術館)がかなわなかったため、日本で1880年から1900年までのサロンの目録から日本主題の絵画を抽出することになった。その結果、世紀末の20年間にパリのサロンで日本を主題とする作品が展示され、異国趣味的なテーマやモチーフが描かれていたことが判明した。ただし、1860年代後半から1870年代のサロン絵画と比較すると、量的には減少傾向があり、世紀末に近づくにつれて、絵画における日本主題が特に物珍しいものではなくなり、普通の主題になっていったことが推定される。 一方、フォーヴィスムにおける日本趣味についても、やはりパリで調査できず(オルセー美術館、ポンピドゥー・センター)、十分な成果が得られたとは言えない。しかし、アンリ・マティスと日本趣味に関して可能な範囲で研究することができた。特にマティスの初期作品について、浮世絵版画とのつながりの他に、キモノの柄の影響、光を帯びた黒色など、通常のジャポニスムとは異なるマティス独特の接点があることがわかったのが成果と言える。マティスにはイスラム美術への興味もあり、広い意味における東方趣味として日本をと捉えていた可能性がある。なお、ドラン、マルケなど他のフォーヴィスムの画家たちに関しては、残念ながら調査する時間がなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年9月に胆石の手術を行い、術後は長期間安静を要したので、当初秋に予定していたフランスでの調査ができなくなってしまったことが最大の理由である。それでも、日本においてできる限りの調査を行い、1880年から1900年までのサロン絵画における日本趣味について、サロンの目録を集中的に調べてリスト化し、フォーヴィスムにおけるジャポニスムについてもマティスについて一定の成果を挙げた。しかし残念ながら、それ以上調査を広げたり、研究を深化させたりするだけの手立てと時間がなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は「パリ万国博覧会と美術・文化交流」というテーマの下に、(1)1867年のパリ万博における「日本の曲芸団」、(2)1878年のパリ万博における日仏人物交流、という二つの問題に取り組む予定である。そのために、日本側の資料調査のみならずフランスにも調査に出かけ、フランス国立図書館で当時の新聞雑誌の記事を調べることになる。その際に、2023年度に実施できなかった調査を、可能な範囲で合わせて行い、研究成果を発展させ、さらに深めるつもりである。
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