研究課題
基盤研究(C)
本研究では、これまでの美術史研究において使用されてきた「古典」という広範囲で曖昧な概念をラファエッロを軸に捉え直す。本研究で提唱する新概念「ラファエッロ主義」とは、これまでの美術史学では使われておらず、ラファエッロを手本とした作品に見られるような、狭い意味での「ラファエッロ受容」とは一線を画すものである。「ラファエッロという美の規範」が国と時代を超えて広く伝播し生き続けたことで、ラファエッロ的な美が、繰り返し形成される現象とその影響関係を考察する。本研究の創造性が強く発揮されるのは、この「ラファエッロ主義」という概念で古典を見つめ直し、近世以降の西洋美術史を再構築することにあるのである。