研究課題
基盤研究(C)
17世紀オランダ美術を代表する画家たちの評価は18世紀末に急速に高まるが、この評価の変化を促した要因の一つを17世紀オランダ絵画を模写した18世紀末の複製素描に見出す。色鮮やかな水彩の複製素描は、17世紀オランダ絵画を繰り返し複製することで、絵画本来の特質である色や光の表現をより一層際立たせ、絵画市場において特定のオランダ画家の評価を高めたのではないか。本研究は、複製素描を作品調査と事例研究に基づき分析することで、18世紀末における17世紀オランダ美術受容のプロセスに迫るとともに、オリジナリティと真筆性を重視する西洋美術史の文脈において、新たな価値を生み出す複製芸術の意味と機能を再考する。