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数理模型の原型制作技法研究ー芸術資源としての学術標本ー

研究課題

研究課題/領域番号 23K00188
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分01070:芸術実践論関連
研究機関東京大学

研究代表者

菊池 敏正  東京大学, 総合研究博物館, 特任助教 (10516769)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード数理模型 / 彫刻 / 文化財 / 保存 / 修復 / インスタレーション / 博物館」 / 3D / 立体造形 / 復元 / 標本
研究開始時の研究の概要

調査対象である数理模型の原型が制作された当時は、粘土もしくは石膏のみで原型の制作に取り組んだと推測される。本研究は模型に対し、X線撮影と3D計測を実施し原型の型を詳細にデータとして収集し、学術標本の制作技法について、包括的に研究を進めるものである。数理模型の原型制作技法について研究を進める事は、今後の数理模型の保存に大きく寄与する効果がある。さらには、原型制作技法研究を通じて、博物館の展示方法に新たなアイデアをもたらすだけでなく、現代芸術における表現方法への影響も予想され、芸術分野との連動した成果が得られる可能性を持つ。

研究実績の概要

国際的にも収蔵する研究機関が限られている数理模型について、これまでにも現状の保存を目的としてレプリカの制作を進めてきた。これは数理模型を、現状の形状のまま複製を制作する方法であり、主にシリコン型を用いて研究を進めたものである。シリコン型による複製は現状を傷める可能性が低く、複数の模型が制作可能になる利点がある。さらには、3D計測を実施し、欠損、破損した部分の復元にも取り組んでいる。博物館として、展示公開事業を継続して進めていくためには、学術標本に対する保存修復研究はもちろんの事、標本の持つ技法構造に関する調査研究は重要な意義を持つものになる。このような状況を踏まえつつ、研究を開始した初年度は、これまで研究を進めてきた石膏製数理模型の構造についてさらなる調査研究を進めた。初年度は模型の調査を中心としており、調査には継続して3Dレーザースキャニング計測も実施し、データとしての数理模型の保存にも努めている。また、複数の模型については、新たに修復研究を実施した。修復を通じて、内部構造が明らかになる部分もあり、また構造として脆弱な部分を把握することが出来ている。これらは今後の保存にも活かされるものになる。本研究の遂行にあたり、予備研究として実施していた積層構造による数理模型の制作については、3Dデータを活用しながら再度検証し、来年度以降、積層構造のアウトラインを用いたゲージを複数制作し、具体的に制作する計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

学術と芸術の境界線を包括的に捉える実践的な研究により、「学術」と「芸術」に相互作用をもたらし、分野横断型の新たな研究領域の開拓にも繋がる事も想定される。今年度の状況としては、2022年秋よりスウェーデン、ストックホルムにある東アジア美術館において、開催されていた工芸をテーマに国際的な展覧会が、本年度においても継続して開催されることとなった。展覧会は、「伝統工芸」と「学術標本」という、過去に例を見ない企画構成でもあり、制作技法を通じて資源を考察する目的を持つ展覧会である。展示公開していたのは、数理模型と現代芸術の連動を試みたインスタレーションであり、大きな反響を得る事ができた。会期が、約1年半という長期的な公開となったことは大きな成果の一つである。数理模型の調査については、今年度実施した部分と、現段階にて把握している部分までを統合し、これまでの研究成果をまとめ論文として発表した。こちらについては、今後の研究計画を遂行することで、さらに詳細な部分までを含めた論文として発表する予定でもある。また、数理模型の研究活動を含めた特別講義も実施した。内容については講義録として公開もされている。海外学術調査は、展覧会が会期延長されたこともあり、ストックホルムにて実施し、19世紀にドイツで制作された数理模型のヨーロッパ諸国における波及について調査した。論文として研究成果をまとめると共に、国外にて研究成果を展示公開することも出来ており、現在までの進捗状況としては概ね順調に進んでいる状況である。

今後の研究の推進方策

初年度に実施した光学調査を基に、数理模型の原型制作について、積層構造での実験的な制作と、ゲージの制作を継続して進める。ゲージの制作には、複数の材種を準備し適切な材料についても検討する。長期的な使用が可能なゲージの材料を検討しつつ、数理模型の型取りに使用されたと想定される粘土の材料についても調査を進める。積層構造での数理模型制作の実験を進めつつ、3Dデータを基に切削加工を進めた数理模型と比較をし、形状の検証を進める。積層構造での問題点等も随時把握するため、3D入出力装置や、3Dプリンター等を使用しながら研究を進める予定である。最終年度に計画している、研究成果を通じた展覧会についても準備を進め、幾何学をテーマとする展覧会をして必要な資料を収集してくと共に、公開可能な模型についても制作を進める予定である。また、数理模型については、国外の研究機関が所蔵している模型群の一部が木製であるため、それらの模型について調査を計画している。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 芸術資源としての数理模型――学術と芸術の境界線として2024

    • 著者名/発表者名
      菊池敏正
    • 雑誌名

      東京造形大学研究報

      巻: 25 ページ: 194-206

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ミュージアムにおける活動と現代美術の相互作用2024

    • 著者名/発表者名
      菊池敏正
    • 雑誌名

      美術館と学芸員

      巻: 2 ページ: 73-85

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [備考] インターメディアテク

    • URL

      https://www.intermediatheque.jp

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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