研究課題/領域番号 |
23K00190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
福本 まあや お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (10464033)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | コンタクト・インプロヴィゼーション / シティズンシップ教育 / 逆向き設計 / ルーブリック / 即興 / 動きの探求 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、民主主義の具現を動きの探求の原理に有するコンタクト・インプロヴィゼーション(CI)というダンスの即興形式を通して、探求を支える運動感覚の発展に加えて、自己への気づき、自他理解、民主的な文化のための能力の涵養をねらいとする段階的な学習指導プログラムの整理構築を行うことを目的とする。同形式とシティズンシップ教育の学びの交点を明らかにした上で、CI指導者と中学教諭の協力を得ながら舞踊教育専攻学生および中学生のモデル学習者を対象とする学習プログラムの整理構築を、逆向き設計のカリキュラム理論に依拠して行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、コンタクト・インプロヴィゼーション(CI)というダンスの即興形式を通して、その動きの原理の継続的発展に必要な運動感覚と身体的技術の発展に加えて、自己への気づき、自他理解、民主的な文化のための能力の涵養をねらいとする学習指導プログラムの整理構築を行うことである。 3か年の計画の1年目にあたる令和5年度は、プログラムの構成、学習者の自己評価のためのルーブリックの項目、学習のゴール設定を国内外の3名のCI指導者へのヒアリングを中心として進めた。結果、身体への気づきと理解の必要性、他者への信頼と同時に自己への信頼を醸成の必要性、探求ベースとパターン習得の教材構成が共通に確認された。一方CI学習に伝統的に含まれる自由即興については指導者間で異なる考えが確認された。民主的な文化のための能力の涵養を狙いとする学習プログラムにおいては、自由即興の時間は学習者自らが選択の自由と他者との対話という二元性の中でダンスする重要視されるべきプロセスと本研究では位置づけた。CI教材の整理を通しては、同一の教材から複合的なスキル習得が期待できること、学習者集団に則して教材は創造的に展開されるべきという理解から、古典的なCI教材を元型としながらも多様な展開を可能とする教材集を想定しつつ、学習指導プログラムの構築を進めた。 上記と並行して多国籍の参加者を想定したCIの実践心得を示した資料をオンラインで収集し、そこに見られる望まれる態度、責任、関係性への言及を抽出し、課外活動の文脈でCI学習指導プログラムを遂行する上での指針づくりの根拠資料とした。加えて欧州のCIコミュニティをけん引する舞踊家へのヒアリングを通して、コンセプト重視の短い導入から自由即興へと展開する方法論についての知見を得ることができた。 実地調査を進める上での基礎データを整えることができたことが今年度の成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍およびコロナ明けによる教務対応による作業時間の不足、実地調査の準備に時間を要したこと及び研究代表者の体調不良のため。当該年度に計画していたモデル学習者を対象とした実地調査は実施に至らず、CI経験者への質問紙調査及びモデル学習者を対象とした調査の開始が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、中学校ダンス部生徒と舞踊教育学専攻学生の両者をモデル学習者としてアクションリサーチ法による調査を行い、それぞれのCI学習指導プログラムを構築してゆくことを構想していた。しかし調査協力学生及び研究者自身の時間的制約が課題として生じた。その対応策として、本研究では中学校ダンス部生徒のCI学習指導プログラムの構築を中心に据え、大学生を対象とした実地調査はその参照群として、中学生を同様の内容で実施することとした。このことにより中学生を対象としたCI学習に関する先行研究が不足する中で、中学生の学習者としての特性(体力面、関心や実践に基づく概念的な理解等)を浮かび上がらせることが可能となると期待できる。 研究遂行上の課題として、シティズンシップ教育学領域の情報収集を進める中で、国内の研究事例は特定の科目とのつながりが強く、加えて学習効果の検証は本領域でも課題となっている状況が確認された。そのため本研究において、民主的な文化の教育の要素をルーブリックにどのように含めるかが今後の課題となっている。その対応策として、CIの実践心得を示した資料を対象に「CI実践における期待と責任」「求められる態度」等を分析の視点としてテキスト分析で整理し、ルーブリックの要素に含める方向で成果検証の指標を作成してゆく計画である。
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